「幅広さを体現する場所」へ。旗艦店に求めた役割と物語
――今回リニューアルしたMIYASHITA PARKのフラッグシップストアは、どんな位置づけですか。
直営店の店舗開発・店舗デザイン、ビジュアルマーチャンダイジング、ショップスタッフのトレーニング(セールスアカデミー)をリード。
太田:フラッグシップとは、単に商品を販売するだけでなく、ブランドが今何を大切にしているかを体現する場所です。渋谷はスポーツとファッションとカルチャーが交差する街で、サッカー日本代表ユニフォームを着た若者もスニーカーにこだわる人もランナーもいる。そのすべてが重なる場所に構えることで、アディダスの幅広さを伝えることができます。
MIYASHITA PARKというハコ自体がカルチャースポットとして認知されていますし、その場にフラッグシップがあること自体がブランドメッセージになる、という判断もありました。1F・2Fの計1,067平方メートルを活かして、商品体験からadiClubメンバー向けサービス、ユニフォームへの名入れカスタマイズまで、アディダスのすべてを詰め込んでいます。
――オープン以来、数字としての手応えは?
太田:予想をかなり超える反響でした。来店者数は前年比約70%アップ、売上は前年比約2倍。早くもリピート来店いただくお客様も多く、継続的な数字として手応えを感じています。意図通りと言えますが、サッカーアパレルの売上は前年比約4倍になり、またマラソンの世界記録更新で話題になったランニングシューズの「ADIZERO(アディゼロ)」シリーズをはじめランニング商品は3倍程度伸びています。ストーリー性を持たせた店舗設計が効いていると感じています。
――ストリートで着られる商品も増えている印象を受けます。商品構成の戦略に変化はありましたか。
太田:アディダスはグローバルで「グローバルブランド・ウィズ・ローカルマインドセット」という指針を打ち出しています。以前はグローバルの方針に基づいて商品展開を進める体制でしたが、今はグローバルの戦略を踏まえながらも、日本のお客様視点で商品をセレクトできるようになっています。直営店ではそこを強く打ち出せるのが強みです。一方で、先日ロンドンで行われた公式のマラソン大会で人類初となるフルマラソン2時間切りを達成したレーシングシューズの「ADIZERO」シリーズのようなグローバルのイノベーションやテクノロジーを搭載した商品もちゃんと伝える。ローカルとグローバルのバランスがうまく取れている店舗構成です。
adiClub――3億人をつなぐグローバルCRMプログラムの「日本仕様」
――CRMのコア戦略でもある会員プログラム「adiClub」は、どのようなプログラムですか?

ルチア:「adiClub」はアディダスのグローバルな会員プログラムで、全世界で3億人以上が利用しています。日本では2018年10月にスタートし、2023年10月に大きく進化しました。購入金額に応じたポイント付与と使用ができるようになったのが大きな転換点で、さらに日本のお客様向けにカスタマイズした特典も設計しています。

ロイヤリティプログラム「adiClub」の統括と、その裏側で走るCRM戦略の両方を担当。DTC(直営店・自社Eコマース)チャネル全体に対してディレクション。
――どんな日本仕様の特典を企画しているのでしょうか?
ルチア:従来でいうと、人気アーティストのコンサート招待やローカル音楽フェスへの招待、FIFAワールドカップ日本代表戦の観戦チケット提供などがその一例です。スポーツ、音楽、カルチャーのそれぞれのシーンでアディダスとの接点をつくり、「ポイントによる特典への交換」という従来のポイントプログラムの枠を超えたアディダスならではの特別なブランド体験を提供することで、お客様とのエンゲージメントをさらに高めていくことを目指しています。
