創業から一貫する“美”の捉え方と、ブランドのDNA
MarkeZine:はじめに、樋口さんの現在の役割とオルビスのCSR活動の背景を教えてください。
樋口:2026年1月から、経営企画部内のコーポレートグループでサステナビリティやCSR領域を管掌しています。以前も経営企画部の中で災害支援のCSRに関わってきましたが、現在は子供支援を行う「ペンギンリングプロジェクト」をはじめとする、サステナビリティー・CSR領域全般を見ています。
オルビスのCSRに関する取り組みは、昨今の潮流にあわせて始めたものではありません。創業はバブルの時期でしたが、きらびやかに着飾ることが主流だった当時、オルビスはその逆をいくブランドとしてスタートしました。「化粧品が化粧をする必要はない」──つまり、箱やパッケージにお金をかけるのではなく、資源に配慮しながら、お客様に本質的に役立つ中身に力を入れる。そうした環境を意識した発想が、創業時からあったのです。
ですから、社会課題に対する活動は後付けのテーマではなく、事業の根幹に組み込まれている。ブランドのDNAとして刻まれているという認識でいます。
MarkeZine:その創業以来のDNAは、オルビスのミッションやフィロソフィーとして、どのように言語化されているのでしょうか。
樋口:オルビスのミッションは「ひとりひとりが持つ美しさが、多様に表現されるここちよい社会へ。」です。言葉自体は時代に合わせて磨き直していますが、考え方は創業から変わっていません。その人が本来持つ良さを引き出し、自分らしくいられる状態こそが最も美しく、その実現に貢献していく──この軸はずっと同じです。それをぎゅっと凝縮したフィロソフィーが「SMART AGING(スマートエイジング)」。自分らしい美しさを追求することで、ここちよい年齢の重ね方を支えていきたいと考えています。
本気でミッションを追うと、CSRと事業は一体的なものになる
MarkeZine:そのミッションと、CSR活動はどうつながるのでしょうか。
樋口:私たちは、そもそも事業とCSRを別のものとして分けて考えていません。私たちには志すミッションがあり、それを実現する根本的な手段が事業活動です。極端に申し上げれば、事業だけで理想が実現できるのなら、CSR的な活動は必要ないわけです。
ただ、本気でミッションを実現しようとすると、事業ではどうしてもアプローチできない部分が出てきます。そこをCSR的な活動でアプローチしていくという考えです。ミッションが起点にあって、事業とCSRはその両輪。別物として切り分けるという発想が、そもそもありません。
MarkeZine:事業ではカバーしきれない部分をCSRで担う、という考え方はとてもわかりやすく腹落ちします。
樋口:事業とサステナビリティ活動を区分して捉え、両者に壁がある企業もありますよね。以前、あるカンファレンスで私たちの考え方についてお話ししたときも、「ミッション実現のために事業でリーチできない部分をCSRでアプローチするという考えはスッキリ腹落ちしました」という言葉をいただきました。
私たちの強みがあるとすれば、それはミッションに向き合う会社全体の本気度なのかもしれません。オルビスの社員は本気で自分たちのミッションが志す社会をつくろうと思っています。
