インプレックスアンドカンパニーは、営業におけるAIツールを導入している企業の営業マネジメント層、経営者層、組織変革・DX推進責任者1,025名を対象に「営業におけるAIツール導入企業の運用・定着」に関する調査を行った。
営業におけるAIツール導入で、成果が出ていると感じているのは約9割
はじめに、「営業におけるAIツールの導入後、どの程度の成果が出ていると感じるか」について質問したところ、「とても成果が出ている」が26.4%、「やや成果が出ている」が58.7%で、全体の約9割が「成果が出ている」と回答しており、営業現場におけるAIツールの成果に一定の有効性が示された。しかし、「とても成果が出ている」は約3割にとどまっており、AIツールの効果はまだ限定的であることが推察される。また、「成果が出ていない」と感じる層も1割半いることから、活用状況によって成果の度合いに差が見られる結果となった。
続いて、「営業におけるAIツールを導入した際、重視していた目的は何ですか」について質問したところ、「営業業務の効率化」が48.1%と最も多く、「営業プロセスの標準化・属人化解消」が30.8%、「売上・受注率の向上」が30.7%と続いた。
約半数が「営業業務の効率化」と回答しており、まずは定型化可能な範囲の事務作業をAIツールに任せることで、現場の負担軽減を重視したい意図がうかがえる。次いで、「標準化」と「売上向上」が約3割で並んでいることからも、業務改善の先にある「属人化の解消」や、それにともなう「成約率の底上げ」といった成果も同時に期待されていることが考えられる。
次に、「誰が営業におけるAIツールの導入・活用推進を主導していますか」について質問したところ、「とても成果が出ている」層では現場主導が最多となり、当事者意識を持った活用が成果につながっていると考えられる。一方、「成果が出ていない」層ほど情報システム部門や経営層が主導する傾向にあり、現場のニーズと乖離した「トップダウン型の導入」や、システム構築が目的化した「現場不在の推進」が活用を妨げる障害となっている可能性が推察される。
「あなたの会社で、最も現状に近いAIツールの扱い」について質問したところ、「とても成果が出ている」層では、約6割がAI活用を「重要な取り組み」として位置づけており、AI活用を組織全体の重要事項として推進している企業ほど、成果を実感しやすい傾向があることがわかった。
一方で、「やや成果が出ている」「あまり成果が出ていない」層では、「重要性は認めるが、他業務が優先されている」という回答が最多となった。AI活用の必要性を感じつつも、日々の業務に追われて後回しになってしまう状況が、活用の広がりを妨げる要因となっている可能性が推察される。
また、「全く成果が出ていない」層では「試験的・補助的な取り組み」が最多となった。これは、明確な運用方針や目的が確立されていないため、本格的な活用フェーズへと移行できていないことが、成果に結びつかない要因になっていると推察される。
営業におけるAIツールの活用が進まなかった理由1位は「教育・研修が不十分」
続いて、営業におけるAIツールの導入後について「やや成果が出ている」「あまり成果が出ていない」と回答した人に尋ねた。
「営業におけるAIツールの導入後、活用を組織として推進するうえで十分に行えていなかった対応は何か」について質問したところ、「AIツール活用に関する方針や優先度の明確な設定」が38.6%で最も多く、「営業活動におけるAIツールの役割・位置づけの社内共有」が34.1%、「AIツール活用を推進する体制や責任者の明確な設定」が28.5%と続いた。
成果が停滞している企業において、十分に行えていなかった対応は「方針や優先度の明確な設定」であることがわかった。さまざまな現場で自社におけるAI活用の重要度や優先順位を明確に示しきれておらず、その結果、現場では日々の業務に追われてAIツールの活用が後回しにされている実態が読み取れる。
次いで「役割・位置づけの共有」が続いており、現場が具体的な業務におけるAI活用の判断基準を持てていない実態も考えられる。
さらに、約3割が「推進体制や責任者の明確な設定」を挙げており、指針を示すリーダーシップや、それを実行・継続させるための責任の所在が曖昧である可能性も浮き彫りとなった。
「営業におけるAIツールの活用が思うように進まなかった要因は何だと思うか」について質問したところ、「教育・研修が不十分だった」が32.5%で最も多く、「活用するメリットや成果を実感できなかった」が27.6%、「周知が徹底できていなかった」が24.0%と続いた。
約3割が「教育・研修の不十分さ」を挙げており、操作方法の周知に留まり、実務への応用まで踏み込んだフォロー体制が欠けていた実態がわかった。
次いで、「メリットや成果の実感不足」が挙げられており、現場がAIを使う意義を自分ごととして捉えられていない実態が推察される。また、「周知の徹底不足」も上位にあることから、ツールの有用性や活用指針が組織の末端まで浸透しきっていない可能性もある。
「営業におけるAIツールの導入後、活用状況や成果についてどの程度把握・モニタリングできているか」について質問したところ、成果実感の度合い別で上記のような回答結果となった。
「とても成果が出ている」層では、9割以上が活用状況や成果を把握できていると回答した。特に、「よくできている」と回答した人は7割を超えており、AIツールの活用状況や成果をモニタリングできている企業ほど、高い成果を得られていることが推測される。
一方で、「あまり成果が出ていない」層になると、活用状況のモニタリングを「あまりできていない」と回答した人が6割を超え、成果実感の低い層ほどモニタリングが機能していない実態が判明した。
次に、「営業におけるAIツールの活用状況を判断・改善するにあたり、明確に設定できていた基準・指標は何か」について質問したところ、「とても成果が出ている」層では、「利用頻度やログイン回数」などの定着指標を重視する割合が約6割に達した。まずは現場に使う習慣を定着させることを最優先の管理項目にしていることが、結果として成果につながっていると考えられる。
一方で、「あまり成果が出ていない」層では「品質」が上位を占めており、現場の利用実態を置き去りにしたまま評価を急ぐ姿勢が目立つ。土台となる「利用頻度」を把握できていないため、成果が出ない原因を特定しづらい状況が見られる。
さらに「全く成果が出ていない」層は「利用頻度」が最多となったものの、「とても成果が出ている」層と比較すると約2割にとどまり、他の指標と票が割れている。これは、組織として「何を見るべきか」の軸が定まっておらず、モニタリングの指標自体が迷走している状況を示している。
AIツールの活用推進は社内だけの対応では難しい? 企業が求める支援とは?
「営業におけるAIツールの活用を進める中で、社内だけで対応するのが難しいと感じること」について質問したところ、「指標をもとに改善施策へ落とし込むこと」が36.5%で最も多く、「改善を継続的に回す仕組み・運用の構築」が30.2%、「活用状況や成果をどう評価・判断すればよいか整理すること」が29.7%と続いた。
社内対応の限界として、「指標をもとに改善施策へ落とし込むこと」が最多となった。これは、データの収集はできても、それをどう解釈し、具体的にどう営業現場を改善すべきかという判断に苦戦している状況がうかがえる。
また、継続的な運用体制や評価基準の整理も上位に挙がっており、ツール導入後の「PDCAサイクル」を自社のみで設計・完結させることの難しさが明らかになった。
次に、社内だけで対応するのが難しいことについて「特にない」と回答した人以外に尋ねた。
「営業におけるAIツールの活用を進めるにあたり、外部の支援を受けるとしたらどのようなことが望ましいか」について質問したところ、「営業組織・マネジメント向けの運用アドバイス」が34.6%と最も多く、「指標分析から改善施策への落とし込み」が32.5%、「現場定着に向けた継続フォロー」が28.2%と続いた。
外部支援への期待として、「営業組織・マネジメント向けの運用アドバイス」が最多となった。
次いで、データ分析を実務につなげる「指標分析から改善施策への落とし込み」や「現場定着に向けた継続フォロー」も上位に挙げられた。さまざまな企業がツール導入後のPDCAサイクルを自社のみで完結させることに限界を感じており、成果創出に向けた専門的な知見による伴走を求めている実態が明確になった。
【調査概要】
「営業におけるAIツール導入企業の運用・定着」に関する調査
調査期間:2026年2月実施
調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
調査人数:1,025名
調査対象:調査回答時に営業におけるAIツールを導入している企業の営業マネジメント層、経営者層、組織変革・DX推
進責任者と回答したモニター
調査元:インプレックスアンドカンパニー
モニター提供元:PRIZMAリサーチ
