SNSから店頭購買への橋渡しをいかに実践する?
──3Sサイクルを回すための具体的な取り組みをお聞かせください。
Scene(使用場面)、つまり製品体験の注力ポイントは既にお話ししたため、SNSとStore(店頭)に絞ってお話しします。
まず、SNS戦略のポイントは、「捉えるべきモーメント」と「誰に・どこで・何を語ってもらうか」を掛け合わせることです。「呼吸感ベールUV」であれば、商品のユニークネスを「テクスチャー」「快適持続」「焼けない」の3軸に整理し、それぞれの効果的な伝え方を考えました。
たとえば「テクスチャー」軸は、絵づくりが得意な美容系インフルエンサーに伝えてもらい、「快適持続」という塗膜技術の話は、専門知識が豊富なインフルエンサーに勉強会を実施した上でお話しいただきました。語ってもらう内容はすべて1対1で設計しており、同じ情報を横並びに出すことは絶対にしません。
「キッズスタンプUV」のSNSでの広がりでは、興味深い出来事がありました。花王のデザイナーが運営する採用広報を目的としたInstagramアカウントが、商品作りの裏側を紹介する動画を投稿したところ、17万いいねを獲得したのです。もの作りへの正直な思いは訴求力を持つのだと実感しました。
──店頭施策についてはいかがでしょうか。
今年からテスター体験に特に力を入れています。きっかけは2025年の「呼吸感ベールUV」先行販売時の出来事です。マツモトキヨシ様の店頭にテスターが置かれた際に、「試してみたらスフレみたいで最高だった」「塗るのが楽しい」という声がX(旧Twitter)に次々と投稿されたのです。テスター体験自体が口コミになると実感した瞬間でした。
そこで今年の全国発売にあたっては、テスター台を陳列の中央に広く構え、装飾にも徹底的にこだわりました。マーチャンダイジングのセオリーには反しますが、あえてテスターに存在感を持たせ、コミュニケーションの起点としたのです。
「キッズスタンプUV」はイオングループとの協業商品です。その理由は、ファミリーショッパーへのリーチとイベント実施環境の2点にあります。キッズスタンプUVはお子様に使っていただくことが前提なので、ファミリーショッパーを多く抱えるイオンリテール、ツルハグループ、ウエルシアグループとの連携が不可欠でした。
さらに、イオンモールの一角を借りて体験型イベント『おでかけ太陽の教室』を開催することで、子どもたちが実際にスタンプUVを使う場面を私たちのチームが直接観察できる。購買データだけではわからない生の使用実態を把握し、製品改善に活かすための場として機能しています。
「売り場ごと輸出する」グローバル戦略と次の一手
── ビオレUVは近年グローバル展開にも力を入れています。さらなる拡大に向けて、どのような戦略を描いていますか。
ビオレUVは、国内では日焼け止め市場においてシェア25%を目標に掲げていますが、世界ではまだまだ知られていないブランドです。現在、30以上の国と地域に展開していますが、ブランドをさらに世界に広げていくことが、私たちの大きなテーマです。
昨年、「呼吸感ベールUV」の先行販売をマツモトキヨシ様のアジア店舗でも同時展開しました。「商品だけでなく、売り場と売り方ごと輸出する」という考え方のもと、日本とほぼ変わらないテスター台と装飾による売り場を展開し、この体験設計が海外でも機能することを確認できました。
先述の「キッズスタンプUV」のInstagram投稿には、海外からも多くの反応がありました。コメント欄には、英語や中国語、その他の言語で「欲しい」「どこで買える?」という声が集まっていたのです。
──最後に、ブランド全体の今後の展望をお聞かせください。
ビオレの注力テーマの一つに、BtoB領域への拡張があります。たとえば、熱中症対策が義務化された職場環境向けに「冷タオル」の本格販売を開始しています。
また、「環境適応」というコンセプトは日焼け止めだけにとどまりません。気温上昇にともない皮脂分泌が増えることで毛穴詰まりや洗浄に関するお悩みも増えています。ビオレが長年蓄積してきた洗浄技術や毛穴ケアの知見は、そうした課題にもお応えできると思っています。しかもそれは、グローバル共通の課題です。
日焼け止めで培った「環境適応」という軸を、紫外線対策・汗ケア・毛穴ケアへと横展開しながら、世界で戦える領域を広げていきます。
9月8日開催 MarkeZine Day 2026 Autumnに登壇!
「花王『ビオレ』× 日本ハム『シャウエッセン』成熟市場を突破するカテゴリー拡張と、勝ち続けるためのブランド設計」をテーマに、小林達郎氏が登壇します。詳しくは、イベントサイトをチェック!
