本連載で伝えたいこと
本連載は、成功談を並べるようなマーケティングの話ではありません。長いキャリアの中で、失敗を重ねながら実務で学んできた「現場で使えるマーケティング思考」を、できるだけわかりやすく“型”として整理していくことを目指しています。
特にお届けしたいのは、20〜40代で事業や組織の成長に向き合うリーダー層、これからマーケティングに関わる方、あるいは既に携わりながら課題を感じているすべての現場で課題に向き合う方々です。戦略を考えると言っても何から手をつければ……とか、課題は何かと言われても見極められない……とか、日々悩んでいる方々に対して、明日からすぐに使える「マーケティングを起点とした課題解決の考え方」をお伝えしていきます。
この連載を通じて伝えたいメッセージを一言で表すなら、こうです。
「事業も、組織も、人も、“強み”にフォーカスして考えましょう」
マーケティングを起点に、事業と人の成長を実現する。私がリクルートおよび事業支援の仕事を通して体系化した知見を、この連載でお伝えしていきたいと思っています。
「マーケティング」という言葉は広義で抽象的であり、人によって解釈も異なります。その定義については今後詳しく述べますが、私が考えるマーケティングの本質は、シンプルに言えば「強みを活かす」ことに尽きるのではないかと思っています。
そしてこの考え方は、事業にも人にも、両方に共通して当てはまると確信しています。
たとえば、事業の成長を考えるときには、「この会社の強みは何か?」「その強みはどこで価値を発揮できるのか?」を見極めます。人の成長においても同様で、「この人の強みは何か?」「どの仕事で最大限の価値を発揮できるか?」を考えます。
いずれの場合も、「強み」が起点となり、それが最適な場所で発揮されてこそ「価値」となるのです。
多様な会社の事業支援を通して得た確信
私はこれまで、リクルートでマーケティング室のVP(ヴァイスプレジデント)として、人材育成や知見の流通促進、HR領域全体のマーケティング戦略を担当してきました。
また、兼業が可能な制度を活かして、個人事業主としての事業・マーケティング支援、家業の学校教材事業の経営にも携わってきました。支援してきた企業の売上規模は10億円〜1,000億円と幅広く、業種も多岐にわたりますが、常に経営者に伴走してきました。
その中で確信したのは、企業の規模やフェーズに関係なく、成果を出すために必要なマーケティングの基本は変わらないということです。手法が異なっても、本質は同じ。「強みを見極め、それをマーケットに最適化する」という考え方は、すべての企業で有効でした。
この考え方は、マーケティング戦略だけでなく、人材や組織のマネジメントにも応用できます。強みにフォーカスした思考は、自律的に成果を出す組織を作る上でも、大きな力になります。
“事業・経営共創型パートナー”の会社を創った理由
ここで、簡単に私の自己紹介をさせてください。現在私は、株式会社NexGenという会社を立ち上げ、マーケティングを起点とした事業・経営共創型の成長支援事業をしています。
特徴は、外部コンサルティングとしての提案にとどまらず、顧客企業の内部にマネジメントやメンバーとしてチームで参画し、事業の成長を“共に担う”経営共創スタイルをとっていることです。
なぜそこまで関与するのか?
それは、どれほど優れた戦略があっても、それを実行する人と組織が育っていなければ、事業は成長しないと確信しているからです。
だからこそ、マーケティングの考え方を“人材育成”や“組織開発”にも応用する必要があると考えています。
そのためにも、我々はチームとして参画し、強みを活かして個と組織の成長を引き出すマネジメントノウハウをお伝えすることで、自律と自責で事業数字に向き合って成果を出す組織に変えていくことを志向しています。