化粧品と栄養補助食品を横断した顧客化を目指すファンケル
1980年に創業したファンケルは、化粧品と栄養補助食品を製販一貫で手掛けてきた。もともと化粧品公害で悩む顧客のために無添加の化粧品で世の中を変えようという思いからスタートしており、「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」という創業理念を持つ。また、「お客様の健康をサポートしたい」という思いのもと、栄養補助食品も幅広く手掛けている。
ファンケルの販売チャネルは主に通信販売(直営通販、外部通販)と直営店舗、卸売販売の3つがあり、D2Cチャネル(通販と直営店舗)が多くの割合を占める。
石川氏は、顧客の特徴や現状の課題について次のように語る。
「ファンケルのお客様の多くは女性です。美容や健康に関心を持ち、日々の生活で不安や悩みを感じている方を、本人だけではなく家族も含めて想定顧客としています。化粧品と栄養補助食品の売上構成比は半々くらい。化粧品と栄養補助食品の両方を購入されるお客様のLTVが高い傾向ですが、現状ではどちらか一方だけを購入されるお客様のほうが多く、両方を購入するお客様を増やすことでLTVの向上に取り組んでいます」(石川氏)
複数事業のクロスセル促進でLTV向上を目指すGDO
2000年に創業したGDOは、「ゴルフで世界をつなぐ」をミッションに、ゴルフライフをサポートするサービスを多角的に展開している。その中でも、基幹事業となっているのがECサイトでのゴルフ用品販売と国内ゴルフ場の約95%をカバーするゴルフ場予約だ。
GDOは創業から25年の間にゴルフに関わる様々な事業を展開し、売上は右肩上がりに成長している。国内にゴルファーは約750〜800万人いると言われているが、GDOの会員登録者数は延べ約607万人にものぼる。会員の平均年齢は46歳、男性が85%。年収は約半数が800万円以上と高収入層が多く、職業は会社役員や管理職、自営業などが25%以上となっている。ゴルフの平均スコアは、100〜109が最多だ。
加藤氏は、基幹事業であるECサイトが持つ課題やLTV向上のための取り組みについて、こう語る。
「ゴルフ場予約事業もゴルフ用品販売事業も、巨大資本を持つ大手競合が多数あります。そのため、ゴルフ場予約は活用しているけれど、ゴルフ用品は他で買うというように、サービスを部分ごとに使うお客様も少なくありません。特にゴルフ用品販売はEC主体のため、リアル店舗も競合です。ファンケルさん同様、事業を横断して利用してくださるお客様のLTVが高くなるので、クロスセルの促進がマーケティングの軸になっています」(加藤氏)
