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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Spring

MarkeZine Day 2025 Autumn

なぜLTVが伸びる?ファンケルとGDOの戦略に見る成功の共通点

 顧客のLTV向上は多くの企業で目指す指標の一つであり、そのためには顧客に想起され愛される企業・ブランドになる必要がある。2025年9月に開催された「MarkeZine Day 2025 Autumn」には、LTV向上に取り組むファンケルの石川雅俊氏とゴルフダイジェスト・オンライン(以下GDO)の加藤裕稔氏が登壇。マーケティングギルドコミュニティ代表理事であり、マーケティング支援を行うタネトシカケ代表取締役、はなまるCMOの髙口裕之氏をモデレーターに、どのような考え方や方法でLTV向上に取り組んでいるのかが語られ、業種も顧客層も異なる両社の共通点が見えてきた。

化粧品と栄養補助食品を横断した顧客化を目指すファンケル

 1980年に創業したファンケルは、化粧品と栄養補助食品を製販一貫で手掛けてきた。もともと化粧品公害で悩む顧客のために無添加の化粧品で世の中を変えようという思いからスタートしており、「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」という創業理念を持つ。また、「お客様の健康をサポートしたい」という思いのもと、栄養補助食品も幅広く手掛けている。

株式会社ファンケル マーケティング推進統括オフィス 通販営業本部 戦略企画部 部長 石川 雅俊氏
株式会社ファンケル マーケティング推進統括オフィス 通販営業本部 戦略企画部 部長 石川 雅俊氏

 ファンケルの販売チャネルは主に通信販売(直営通販、外部通販)と直営店舗、卸売販売の3つがあり、D2Cチャネル(通販と直営店舗)が多くの割合を占める。

 石川氏は、顧客の特徴や現状の課題について次のように語る。

 「ファンケルのお客様の多くは女性です。美容や健康に関心を持ち、日々の生活で不安や悩みを感じている方を、本人だけではなく家族も含めて想定顧客としています。化粧品と栄養補助食品の売上構成比は半々くらい。化粧品と栄養補助食品の両方を購入されるお客様のLTVが高い傾向ですが、現状ではどちらか一方だけを購入されるお客様のほうが多く、両方を購入するお客様を増やすことでLTVの向上に取り組んでいます」(石川氏)

複数事業のクロスセル促進でLTV向上を目指すGDO

 2000年に創業したGDOは、「ゴルフで世界をつなぐ」をミッションに、ゴルフライフをサポートするサービスを多角的に展開している。その中でも、基幹事業となっているのがECサイトでのゴルフ用品販売と国内ゴルフ場の約95%をカバーするゴルフ場予約だ。

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン ブランドコミュニケーション本部 本部長/エンゲージメント本部 本部長 加藤 裕稔氏
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン ブランドコミュニケーション本部 本部長/エンゲージメント本部 本部長 加藤 裕稔氏

 GDOは創業から25年の間にゴルフに関わる様々な事業を展開し、売上は右肩上がりに成長している。国内にゴルファーは約750〜800万人いると言われているが、GDOの会員登録者数は延べ約607万人にものぼる。会員の平均年齢は46歳、男性が85%。年収は約半数が800万円以上と高収入層が多く、職業は会社役員や管理職、自営業などが25%以上となっている。ゴルフの平均スコアは、100〜109が最多だ。

 加藤氏は、基幹事業であるECサイトが持つ課題やLTV向上のための取り組みについて、こう語る。

 「ゴルフ場予約事業もゴルフ用品販売事業も、巨大資本を持つ大手競合が多数あります。そのため、ゴルフ場予約は活用しているけれど、ゴルフ用品は他で買うというように、サービスを部分ごとに使うお客様も少なくありません。特にゴルフ用品販売はEC主体のため、リアル店舗も競合です。ファンケルさん同様、事業を横断して利用してくださるお客様のLTVが高くなるので、クロスセルの促進がマーケティングの軸になっています」(加藤氏)

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顧客育成サイクルを回しながら理解を深めるファンケル

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/11/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49923

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