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特集:スポーツが拓くマーケティングの可能性

コア層の出費は伸び、コミュニティが細分化?21年にわたる調査データから紐解くスポーツ市場とファン動向

大きなコンテンツから、小さいコミュニティへと分散

MZ:スポーツファンの消費行動の特徴や変化はどうお考えでしょうか。

白藤:昔は皆が一斉にテレビでスポーツを見て、視聴率が何十パーセントにものぼる環境にありましたが、今は異なります。娯楽が多種多様になり、趣味の領域が広がり、「スポーツが趣味」という人はトレンド的には減っています。

 調査で「どういうスポーツ(または選手)を見るのが好きですか」と尋ねても、「そういうスポーツ(または選手)はない(いない)」と答える人が増加傾向にあります。もちろん、スポーツは依然として非常に強いコンテンツですが、地上波からもスポーツ放送が減る・なくなるなどしています。

 とはいえ、スポーツをする人や実際にスタジアムに出向いて観戦する人は一定数おり、そこが劇的に減るといった状況にはありません。娯楽の多様化の中でも、スポーツが生活に密着したコアなファン層がしっかり存在しています。

五味:昔のスポーツは、コンテンツとして大きな塊でした。しかし、スポーツの中でも、野球だけでなくサッカーなど多様な競技が盛り上がり、また野球ファンの中でも「巨人」や「阪神」以外の球団も人気が出るなど、市場の中でも分散化が進みました。大きなコンテンツではなく、細分化された中でそれぞれのファンがコミュニティを形成している形です。

 そしてこのような状況において、コミュニティの持つ役割は非常に重要です。特にコア層のファンはSNSなどで自ら発信している場合も多く、インフルエンサー的な立ち位置にいる方もいます。ファン同士は交流を楽しみ、またクラブやチーム側もSNSを重視しています。

 ファンだけでなくスポーツをする側の層も、同じスポーツをしている人のSNSを見ており、コミュニティの中で発信量が多い人が「これはいい」「おすすめ」と言ったものが流行しやすいです。そういう方はアマチュア競技者であっても、インフルエンサーとしてスポンサーが活用するケースもあるほどですね。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部 産業創発部 主任研究員 五味崇氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部 産業創発部 主任研究員 五味崇氏

間口が広がり、多彩なファンが存在

MZ:コミュニティが影響力を持つのも、いち生活者がデジタルで発信し相互コミュニケーションが取れる現代ならではですね。クラブやリーグなど企業側はどういった施策を積極的に行っていますか。

五味:たとえばJリーグは、無料招待券キャンペーンで初心者層をスタジアム観戦に誘導しています。やはり現地で観戦するとテレビで見る臨場感との違いを感じることができ、リピート観戦者の増加やコアファンの育成にも役立ちます。現地に赴く最初の一歩はやはりハードルも高いため、そこを後押しするきっかけが効果的なのでしょう。

 また、集客力というとトップレベルやワールドクラスの規模感をイメージしがちですが、「自分たちの地域のクラブ・チーム」の存在も無視できません。より身近な場所にクラブ・チームやスタジアム・アリーナがあることがきっかけで、観戦者の間口が広がる側面もあると思います。

MZ:調査では、コア/ライト層のファンに関してはどう見ていますか。

五味:ファンの熱狂度は定点調査ではなく、トピック的にスポットで行う調査です。自己評価で、強度が高いか低いかを質問します。今回、自分で「コア層」と認識している方の行動は、「シーズンチケットを買う」「アウェイゲームの観戦に行く」など色々な活動をされています。

 また、「カープ女子」といった言葉がトレンドになったように、女性ファンの間口も昔より広がっています。

白藤:ファン醸成の観点も、実際には「ライトからコアへ」の一方向だけではないようです。たとえば子ども時代にスタジアムで観戦をしてそのスポーツを好きになった、たまに家族でスタジアムに行きテレビでも一緒に応援する、などライトとコアの中間層的な位置で関わる潮流もあるのではないでしょうか。

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30代以下はスマホ、40代以上はテレビで観戦する傾向に

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49749

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