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MarkeZine Day 2025 Retail

世界動向の先を読む「もう1つの視点」

「レガシー負債」が招いた米Targetの不振、米国リテール企業の資本投下構造の差

 米国最新情報レポート「MAD MAN REPORT」を毎月発刊している榮枝洋文氏の視点を借り、国内外の企業の動きやグローバルの潮流を解説している本連載。今回は、米国のリテール大手Targetの経営不振を深読み。対照的に業績を伸ばしているWalmartとの戦略の違いを分析し、これからリテール企業が生き残るために必要な判断を考察する。

Target不振、要因は内部の投資配分にある

 現在、米国Targetの不振が続いている。図1は世界の流通企業の時価総額ランキング、図2は直近3年間のTarget、Walmart、Amazonの株価推移だ。

 「WalmartとTarget」と言えば、米国スーパーマーケットの2強だったが、図1(2025年9月時点)では、WalmartとTargetの時価総額の差は約20倍にまで開いている。図2の起点、3年前の2022年時点ではWalmartが約53兆円、Targetが約12兆円で、両社の差は4倍程度だった。

【図1】世界の流通・小売企業の時価総額ランキング(2025 年9月4日現在、1 ドル=150 円換算)
【図1】世界の流通・小売企業の時価総額ランキング(2025年9月4日現在、1ドル=150円換算)出典:CompaniesMarketcap.com
【図2】オンライン特需後の直近3年間における株価推移(Walmart=紺、Amazon=黄、Target=赤)出典:Charles Schwab
【図2】オンライン特需後の直近3年間における株価推移(Walmart=紺、Amazon=黄、Target=赤)出典:Charles Schwab

 Targetの不振については「トランプ関税ショック」や「多様性・公平性・包摂性(DEI)方針撤廃に伴う不買運動」といった外部要因が報道されているが、真因は内部にある。実際、Walmartは2024年11月時点(旧バイデン政権下)にDEIプログラムを撤回し、トランプ関税によるショック期を経ても業績・株価を伸ばし続けている。Amazonも同様に伸びている。

 Targetは2025年8月、3四半期連続の売上不振を受け、ブライアン・コーネルCEOの退任を発表した。これも業績不調を外部要因で言い訳しつつ、内部要因の解決に着手するためにCEO交代に踏み切ったかのような印象を与えている。

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フルフィルメント、設備投資、店舗数から見えてくるWalmartとTargetの戦略の違い

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/10/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49999

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