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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day

MarkeZine Day 2025 Kansai

顧客が見出している価値を説明できますか?パナソニック コネクトに学ぶ、BtoBマーケの顧客理解の秘訣

 顧客の顔が見えにくいBtoBマーケティングにおいて、どのように顧客解像度を上げ、自社ならではの独自価値の把握を実現し、マーケティング戦略に活かすべきか。2025年6月5日に大阪で開催されたMarkeZine Day 2025 Kansaiでは「BtoB企業の顧客理解」をテーマに、パナソニック コネクトの関口昭如氏とEVeMの富家翔平氏による講演が行われた。顧客解像度の向上に取り組むパナソニック コネクトの取り組みについて語られた、セッションの様子をレポートする。

BtoBマーケティングは顧客像も自社の価値も見えにくい

 MarkeZine Day 2025 Kansaiでは、「パナソニック コネクトに聞く!BtoBマーケターが顧客の解像度をぐっと高め、実務に活かす方法」と題したセッションに、パナソニック コネクトの関口昭如氏が登壇。EVeMの富家翔平氏がモデレーターを務め、パナソニック コネクトの取り組みをベースに、BtoBマーケティングにおける課題とその解決に向けたヒントが示された。

パナソニック コネクト株式会社 デザイン&マーケティング本部 デジタルカスタマーエクスペリエンス エグゼクティブ/統括部長 兼 現場ソリューションカンパニー ヴァイスプレジデント(マーケティング戦略) 兼 回路形成プロセス事業部 事業部長付 関口昭如氏
パナソニック コネクト株式会社 デザイン&マーケティング本部 デジタルカスタマーエクスペリエンス エグゼクティブ/統括部長 兼 現場ソリューションカンパニー ヴァイスプレジデント(マーケティング戦略) 兼 回路形成プロセス事業部 事業部長付 関口昭如氏

 パナソニック コネクトは、企業のサプライチェーンから、公共サービス、生活インフラ、エンターテインメントまで幅広い事業領域を持つBtoB企業だ。範囲が広いため、いち企業として「誰が顧客なのか」がわかりにくい。

 そもそも、基本的にBtoBビジネスはターゲットが組織となるため、意思決定者も多様かつ、BtoCと比べると顧客の“顔”が見えにくい特徴がある。

 さらに昨今は、情報収集力の向上やAI活用といった顧客側の変化、市場のグローバル化や競争激化、プロセスの分業化といった環境の変化が加わる。そのためターゲット顧客の像も見えにくくなり、マーケティングプロセスでサイロ化が発生。また製品のコモディティ化も進み、独自価値が薄れていく。

 こうした中で「マーケティングで価値を訴求しよう」といっても、顧客の顔も見えておらず、自社製品の価値すらわからない。関口氏、富家氏の両氏は「多かれ少なかれ、BtoB企業ではこうしたマーケティングの課題が起こっている」と話した。

株式会社EVeM Marketing Director 富家翔平氏
株式会社EVeM Marketing Director 富家翔平氏

HowよりWho・What・Whyの解像度を上げよ

 これらの状況を踏まえ、関口氏は「『誰に対し(Who)、何を(What)、なぜ(Why)訴求するのか』という本質が見えず、提供できる価値もわからないまま、手段(How)に先行してしまう状態に陥っていることが、BtoBマーケティングの大きな課題」とまとめた。

 なぜこうしたことが起こるのか。それこそが「顧客解像度が低い」ためだ。自社製品の価値を測るために、顧客側に表面的なヒアリングを行うだけでは意味がない。

 商材やソリューションにもよるが、たとえば顧客企業側に一貫した要件がないケースがある。現場は自分たちのやり方に合ったシステムを求めているのに、経営層は全体最適を考えて新しいやり方に合ったシステムを望む場合もある。自社内にニーズがないにも関わらず、顧客の先の顧客の要請といった派生需要で新しい規格に合った仕組みが必要だったり、既存の仕組みを変えられないからその製品を使い続けたり、という例も珍しくない。

 また、商材の特性によっても価値やニーズは変わる。自社対1社(1 to 1)なのか、自社対多社(1 to many)なのか、自社対ニッチな市場(1 to some)なのかによって、マーケティングで何をどう訴求するかも変わってくる。

 加えて、マーケティングやインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスとマーケティングプロセスの分業化が進む中、部門ごとに接している顧客のフェーズが異なるため、市場が求めているニーズや次につながるアイデアが共有されていない場合もある。企業全体として“顧客”が見えておらず、「何のために」「誰に対して」「何を」提供しているのか、本質的な価値が把握できなくなっているのだ。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49038

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