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MarkeZine Day 2025 Autumn

世界動向の先を読む「もう1つの視点」

プログラマティック広告市場の飽和点 踊り場に立つCA、The Trade Deskの事業分析

 「プログラマティック広告」という手法そのものが珍しくなくなり、市場のコモディティ化が進んでいる。この市場で大きく成長してきた企業も、踊り場に立っているようだ。本稿では、米国最新情報レポート「MAD MAN REPORT」を毎月発刊している榮枝洋文氏の視点を借り、サイバーエージェントとThe Trade Deskの2社を分析する。

オンライン特需が帳消しに。The Trade Desk、サイバーエージェントの企業価値推移

 図1は、プログラマティック広告配信に特化した代表的な広告代理店である米国の「The Trade Desk(以下、TTD)」と「サイバーエージェント(以下、CA)」の企業価値推移を示している。

The Trade Desk(上)とサイバーエージェント(下)の企業価値推移(過去10年間、2025年8月10日時点)チャート出典:各ファイナンシャルサイト(Investing.com, Minkabu.com)
【図1】The Trade Desk(上)とサイバーエージェント(下)の企業価値推移(過去10年間、2025年8月10日時点)チャート出典:各ファイナンシャルサイト(Investing.com, Minkabu.com)

 TTDは創業以来、オープンインターネット広告の旗手として、世界規模のOmnicomやWPPを凌ぐ驚異的な成長を遂げ、企業価値を数兆円規模にまで拡大させてきた。CAも日本国内インターネット広告市場の雄として躍進を続け、電通・博報堂と並んで「広告代理店3強」と呼ばれる立ち位置まで上っている。

 「インターネット広告」の事業ドメインで成長してきた2社だが、偶然にも、現在の企業価値は「オンライン特需期(外出自粛下による需要増)」以前の水準に戻っている(図1)。TTDは、特需期に約8.7兆円(580億ドル、1ドル=150円換算)まで膨らんだ企業価値が、直近では半減以下の3.8兆円に。CAも直近の伸びはあるものの、2018年からほぼ横ばいの0.9兆円規模に留まっている。

 この「戻り」は、過去数年のオンライン特需がほぼ帳消しになったことを意味している。「プログラマティック広告代理事業のコモディティ化」という観点から、CAとTTDの事業状況を分析してみよう。

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サイバーエージェントの決算報告で見えた、広告事業の課題と限界

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/09/25 08:30 https://markezine.jp/article/detail/49808

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