社会に寄り添いプロダクトを提供してきたビオレ45年間の歩み
MarkeZine:はじめに、ビオレのブランドパーパスとこれまでの歩みについてお聞かせください。
小林:ビオレは、「肌を通して『人と人』『人と社会』のつながりを広げる」というパーパスを掲げており、1980年に「ビオレ洗顔フォーム」の販売から事業を始めました。当時、アルカリ性の固形石鹸での洗顔が一般的だったところ、肌に優しい中性の洗浄基剤で洗うという新しい習慣を広げたのがこの商品です。

それから40年以上にわたり、時代ごとに変化する社会の潮流を捉え、生活者が求めるプロダクトを開発してきました。1980年代には社会進出で多忙になった女性向けに、メイク落としと洗顔を同時にできる洗顔料を発売したり、2020年代のコロナ禍では適切な衛生対策を支えるべく泡タイプの消毒液を開発したり、といった具合です。
MarkeZine:言われてみれば、ビオレは洗顔料やハンドソープ、汗ふきシートなど、特定のカテゴリにとらわれないブランド展開をされていますね。
小林:ええ、「肌を通して生活者の課題を解決する」という軸を持ちつつ、プロダクトの種類にはこだわらない形で展開してきました。社内ではビオレを「アメーバブランド」と呼ぶ者もいます。
現在の注力テーマは「暑熱ケア」、屋外労働者の役に立ちたいという純粋な思い
MarkeZine:BtoCブランドとして歩んできたビオレですが、2025年からBtoB事業にも力を入れ始めたと聞きました。なぜ、法人向けの事業を始めたのでしょうか?
小林:ビオレは、現代の生活者が持っている課題として「環境ストレスケア」に着目しています。環境ストレスとは紫外線や赤外線、暑さ寒さ、乾燥、ニオイ、ウイルスなど我々の素肌が晒されているストレスを指しており、その中でも近年深刻な問題と捉えているのが「暑熱」です。
今年も本当に暑い日々が続きました。実際、ビオレの汗拭きシートの売上も2015~2024年までの10年間で2.5倍に伸びるなど、対策意識は高まっています。

MarkeZine:最高気温が40℃近くに上る日もあり、「暑さ」への問題意識はたしかに変わってきているように思います。
小林:そうですよね。私たちがとりわけ問題意識を覚えたのは、屋外作業に従事する方々の労働環境です。熱中症の危険と隣り合わせで働く姿を見て「どうにかしたい」「日々社会のためにがんばっている方々のお役に立ちたい」と。これはいち生活者として自然と出てきた気持ちでした。そこで、ビオレができることを考え、法人向けに暑熱対策の商品を提供することにしました。
洗顔フォームに始まって毛穴パック、ボディシート、直近のポータブルUVまで、時代ごとに生活者の快適な生活をサポートしながら成長してきたのがビオレであり、BtoB事業への進出もその延長線上にあると考えています。