ブランドの世界観を軸に上質な体験を提供
MarkeZine編集部(以下、MZ):本日はペルノ・リカール・ジャパンの「ペリエ ジュエ」のお取り組みについてうかがいます。はじめに、ブランドのご説明をお願いします。
森川:ペリエ ジュエは、プレミアムスピリッツ市場において世界No.1のペルノ・リカールが展開する、創業200年を超えるシャンパーニュ メゾンです。プレステージ・シャンパーニュとして、高品質な味わいと「自然とアート」をテーマにした世界観を体現しています。
複数ブランドのCRM戦略策定と実装、DX推進やLINEを活用した新CRMシステム開発をリード。キャンペーンの最適化と顧客体験の向上、デジタル戦略の構築から実行までブランド横断でCX全般を担当する。
MZ:マーケティング戦略では、どのような点を重視していますか。
森川:シャンパーニュは飲んでこそ魅力が伝わるため、レストランやポップアップイベントといったオフラインでの体験提供が重要です。レストランでは年間40回前後のペアリングイベントを開催しています。
ポップアップイベントは毎年実施しており、入場無料でブランドのコアなファンから新規の方まで広く参加いただいています。2025年もブランドの世界観を体現する会場で、今期のコラボアーティストのアート作品の展示やシャンパーニュ ブランドアンバサダーによるテイスティングセミナーを、10月下旬に表参道にて開催しました。
森川:ポップアップイベントでは、アート展示はもちろん、テイスティングセミナーも開催。クラシックラインからヴィンテージラインまで幅広いラインアップを用意し、飲み比べができるセミナーのチケットも販売しました。バースペースに加えて、シャンパンクーラーやグラスなど関連アイテムを扱うブティックスペースも提供し、イベントは大盛況でした。
ポップアップイベントの告知をする初期接点は、主にYouTubeやMetaの広告です。女優の新木優子さんにアンバサダーを務めていただき、ブランドの世界観を伝えるためのブランドムービーも制作しました。
関係構築と新規開拓の両立を目指し、LINEを起点にイベントへ誘導
MZ:今回お話をうかがう取り組みについて、まずは背景を教えてください。
森川:当社では、オンラインメンバーシッププログラム「マイ ペリエ ジュエ」を通じたイベントの開催を行っています。イベント自体の満足度は高いものの、その後の関係構築・継続に課題がありました。
元々は参加者に紙のカードを配り、必要事項を記入いただくことで参加履歴データが溜まる仕組みでした。しかし、お酒を提供する場でそのようなご対応をいただくのはお客様の負担の面でも、データの正確性の面でも効果的ではないため、より適切にお客様とつながり続ける仕組みを模索していました。
また、イベント参加者のターゲットを広げたいという課題がありました。これらの背景を踏まえ、既存顧客との関係強化だけでなく潜在層の新規獲得も見込めるコミュニケーションチャネルとして、LINEを活用することに決めました。既存顧客向けのCRM施策と並行して、まだ飲用体験がない新規層にはLINE公式アカウントを通じたポップアップイベント告知などの情報発信を行いました。合わせて、デジタル広告からLINEへの導線も整備しました。

