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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

ライフサイエンスが広げるブランドの可能性。事例で見る“健康観”の変化と潮流

 ライフサイエンスの進化にともない、大きく変わりつつある私たちの健康観。これまではあまり関わりのなかった一般ブランドも、健康分野に商品やサービスの展開を広げている━━。世界で100カ国以上にオフィスを展開する広告代理店HAVASで日本のエグゼクティブ・ディレクターを担う北市卓史氏が、同社が持つ専門研究チームとそのネットワークを活かし、世界各国の先進的なブランドによる取り組み事例を紹介し、今後国内でも注目すべきマーケティングトレンドを共有していく本連載。第12回となる本稿で取り上げるのは、進化する「ライフサイエンス」の領域だ。

健康中心の社会に。ライフサイエンスがもたらす価値観の転換

 2024年、米国のバイオ企業であるColossal Biosciencesが「2027年までに ”マンモスのような動物” を誕生させる」という計画を発表し、世間を驚かせました。まるで空想科学のような話ですが、科学の進歩によって、それが現実のものとなりつつあるのです。近年のライフサイエンスの進歩は目覚ましく、各国政府もこの分野を次世代の成長エンジンと位置づけ、巨額の資金が研究と市場に流れ込むことで、イノベーションの連鎖が生まれています。

 ライフサイエンスの進化にともない、私たちの健康観は大きく変わりつつあります。かつては「予防や治療」が中心だった健康の概念は、今や「健康の向上・身体の進化」へとシフトしています。高性能なウェアラブルデバイスやパーソナライズされた栄養・運動プログラムなど、以前はプロアスリートだけが利用していたような高度な健康サービスが、今では一般の人々にも広く普及。ソーシャルメディアを通じて健康に関する知識が日常的に共有され、世代を超えて健康リテラシーが急速に高まっています。まさに「健康の民主化」と言える現象が起きています。

 この変化は、ブランドのあり方にも大きな影響を与えています。ヘルスケアブランドは、健康だけでなく暮らし全体をサポートするライフスタイルブランドに。一方で、これまであまり関わりのなかった一般ブランドも、健康分野に商品やサービスの展開を広げています。たとえば、医療は無機質で一方通行なものから、共感や対話を大切にしたサービスに変わってきており、製品もデザイン性や使いやすさが重視されるようになりました。診断や健康管理のためのツールも、家庭や日常生活の中に自然に溶け込む存在になっています。

 このように、ライフサイエンスの進化によって、テクノロジーと人間の関係は新たな共生の時代へと進んでいます。この記事では、「健康とウェルネス」がどのように再定義されているのかを、具体的な事例を交えながら深く掘り下げていきます。

(1)健康=パーソナルな体験:IKEA「DESIGN YOUR SLEEP WHILE YOU SLEEP」

画像を説明するテキストなくても可
公式動画より

 スペインでは、成人の35%以上が睡眠に関する悩みを抱えていると言われています。しかし、その原因や改善方法を正しく理解している人は多くありません。

 そこでIKEAは、「眠るだけで理想の寝室をデザインできる」という、まったく新しいアプローチを提案しました。この取り組みは、スマートフォンアプリ「ShutEye(シャットアイ)」とのコラボレーションによって実現。アプリは、睡眠サイクルやいびき、外部の騒音などのシグナルを取得。そのデータは、IKEAが長年研究してきた「快適さ・光・温度・音・空気の質・整頓」という睡眠の質を左右する6つの要素をベースに分析。そのうえで、いびきが気になる人には人間工学に基づいた枕を、外の音で眠れない人には防音カーテンを、光に敏感な人には遮光ブラインドを━━ユーザーの課題に合わせた具体的なホームソリューションが提案されました

 まさに“データ駆動型デザイン”(ユーザーの行動データを活用してデザインを最適化していくアプローチ)を活用したキャンペーンなのですが、IKEAは単なる家具ブランドではなく、より良い暮らしを支える存在として注目を集めました。

 このように、健康分野では「パーソナライズド(個別化)」の考え方が急速に広がっています。さらに他のブランドの事例も見てみましょう。

次のページ
自己催眠ケア、フィットネスホテル…次世代の自分らしい健康管理

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この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49751

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