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『MarkeZine』(雑誌)

第114号(2025年6月 最終号)
特集「未来を創る、企業の挑戦」

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MarkeZine Day 2025 Kansai

【基本解説】最近よく聞く「カテゴリー戦略」って何?競合との競争から脱し、事業成長を実現する考え方

 市場でNo.1のシェアを獲得し、事業を急成長させたい。マーケターなら誰しも、そんな大きな目標、いわば野望を持ったことがあるのではないか。しかし現実には多くの企業が事業成長の突破口を見つけられずにいる。マーケターの野望を実現しうる「カテゴリー戦略」について、『急成長企業だけが実践するカテゴリー戦略』の著者であるsuswork代表取締役・田岡凌氏がMarkeZine Day Kansai2025に登壇し解説。顧客の潜在課題から始まるカテゴリー創造の具体的なノウハウを紹介し、事業成長の突破口となるWHO・WHATの勝ち筋の見つけ方を明かした。

事業成長に不可欠な要素を1つ挙げるなら

 事業成長に最も重要な要素は何でしょうか?――田岡氏は講演の冒頭、参加者にこう問いかけた。

 「あえて1つ挙げるとすれば、WHO(誰に)・WHAT(何の価値を)の勝ち筋を見つけることだと私は考えます。どうしてもHOW(どのように届けるか)から入ってしまいがちですが、誰に・どんな価値を届けるのかが重要です。その中でも“非連続的な事業成長”を達成するために重要なのが、カテゴリーNo.1になることです」(田岡氏)

suswork株式会社 代表取締役 田岡凌氏
suswork株式会社 代表取締役 田岡凌氏

 この主張を裏付けるのは、急成長企業にある共通点だ。GAFAMをはじめとするグローバル最大手から国内スタートアップまで、近年急成長を遂げた企業はほとんどがカテゴリーNo.1になっている。既存のカテゴリーに多数のプレーヤーがいても、自社の独自価値を中心に新しいカテゴリーをつくり、No.1ブランドとなれば、結果として顧客に選ばれる確率は上がる。これがカテゴリー戦略の真髄だ。

 「既存のカテゴリーで1番手になれないなら、1番手になれる新しいカテゴリーをつくればいい。成長するカテゴリーでNo.1になれたら、必然的に成長していけます。当たり前のことのように聞こえますが、これがなかなか難しいのです。今日は、カテゴリー戦略の基本と、実践する際のポイントを凝縮してご紹介したいと思います」(田岡氏)

これからますますカテゴリー戦略が重要になっていく?

 はじめに、カテゴリー戦略の意義を考えてみたい。たとえば、「掃除機」と言えば、どのブランド(企業)を思い浮かべるだろうか? 日立やダイソンを思い浮かべた方もいるかもしれない。では、「ロボット掃除機」だとどうだろうか? 恐らく、ほとんどの人が「ルンバ」を思い浮かべたはずだ。

 同様に、「アルバイトするなら?」という問いには様々なサイトを思い浮かべるだろうが、「スキマバイトするなら?」と聞かれると「タイミー」を思い浮かべる人が多いだろう。このように、カテゴリーが変わるだけで、消費者の脳内での想起は大きく変わってくる

 「ブランドの成長には、メンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティが重要だと言われています。メンタルアベイラビリティは想起のこと、つまり心の近さのようなものです。フィジカルアベイラビリティは、配架率や顧客接点、つまり物理的に買いに行きやすいこと。カテゴリーでNo.1になることは、結果としてこの両方に効くと考えています」(田岡氏)

 人間社会の多様化、テクノロジーの進歩が相まって社会は多方面で変化しており、新しいカテゴリーが生まれては、浸透しやすくなっている。変化の激しい時代だからこそ、カテゴリー戦略の重要性は今後ますます高まっていくだろうと田岡氏は主張する。

 「VUCAやAI時代、変化が加速する中で重要なのは、既存カテゴリー内でのシェアの奪い合いではなく、顧客視点で新しいカテゴリーを生み出す、もしくはカテゴリーを拡大することで、No.1ブランドとして成長していくことだと考えます。これは競合同士の争いを避け、事業成長を実現することにも繋がります。そして、この姿勢は、成長が鈍化している大手企業のコア事業にこそ問われていると考えます」(田岡氏)

次のページ
高単価・高収益も。カテゴリー戦略による4つのメリット

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49339

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