SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第114号(2025年6月 最終号)
特集「未来を創る、企業の挑戦」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2025 Spring

Web広告費の60%削減と問い合わせ数20%増加を両立!ソフトバンクのサイト改善を支えた3つの柱

 本記事では、2025年3月に開催された「MarkeZine Day 2025 Spring」内で行われたセミナー「Web広告費の60%削減と問い合わせ数20%増加を両立!ソフトバンクのB2B向けWebサイト改善術」の模様をレポート。ソフトバンクの法人マーケティング本部(※組織名は2025年3月時点のもの)にてマーケティングコミュニケーションの改善を指揮する住谷泰紀氏が、Webサイト改善の秘訣を紹介する。

ソフトバンクが目指すWebパフォーマンス最大化

 最初に住谷氏は、ソフトバンクがWebパフォーマンス最大化を実現するために注力していることを紹介した。具体的には「ページ制作力の向上」「訪問数の向上」「UI/UX改善」、これら3つの要素の改善に注力しているという。

ソフトバンク株式会社
法人統括 法人マーケティング本部 マーケティングコミュニケーション統括部
マーケティングオペレーション部 2課 課長
住谷 泰紀氏

 ページ制作力の向上に関しては、誰でも簡単・迅速にサイトを作成できることを目指し、訪問数の向上は専門性の高いコンテンツとSEOでの実現を狙う。そして、UI/UX改善について顧客との接点を強化し、コンバージョン率(CV率)の向上を目指している。

 法人向けビジネスのマーケティングを行う法人マーケティング本部では、これら3つの取り組みを実現すべく、イベント・PRやコンテンツ、広告宣伝(デリバリー)などの機能別に組織を分け、スマートワークやセキュリティ強化など法人ビジネスで注力しているテーマごとにチームを組んで活動しているという。

 「各テーマにおいてペルソナを設定し、多岐にわたる施策を実施することで顧客体験の最適化を図り、日々トライアンドエラーを繰り返しています。ただ、Webサイトの最適化プロセスに関しては、これまで十分なスピードで回せていないという課題が存在していました

制作プロセスの内製化で制作日数3分の1&制作量約3倍に

 続いて住谷氏は、最初に挙げた3つの注力事項に関して、それぞれの課題と対策、対策によって得られた成果を紹介した。

 まず、ページ制作力向上における課題は大きく2つ。1つ目は、協力会社に依存した体制のため、機動性に欠け、ページ制作に時間がかかるという点である。2つ目は、何か新しい施策を始めたい・ページの一部を改修したいと思っても、準備期間が長く、すぐに効果が出ないという問題であった。

 住谷氏は当時の状況について以下のように振り返る。

「制作会社のリソースやスケジュールの確認から始まり、場合によっては予算や時間を気にして、実行できない可能性も加味しながら施策に取り組んでいました」

 また、こうした外部依存により、新しい制作方法や仕組みへの変化が難しいというジレンマも抱えていた。

 これらの課題を解決するため、ソフトバンクはテクノロジーの導入によるプロセス変革を決断。具体的には、クラウド型CMS(コンテンツ管理システム)を採用し、制作プロセスを内製化。CMSの入れ替えは通常、半年から1年を要する大がかりなプロジェクトとなることが多いが、選択したクラウド型CMSは導入決定から約3ヵ月でページ作成が可能になった。これにより、それまで外部に集中していた制作プロセスを内製へと段階的に広げることができた。

 このクラウド型CMS導入の成果は非常に明確であった。ノーコードでの制作が可能となり、コンテンツ作成力が大幅に向上したのである。これにより、「今まで外部に委託していた制作作業を段階的に内製化し、PDCAサイクルを高速で回せるようになった」と住谷氏は語る。

 たとえば、緊急で特定の情報を発信したい場合や、A/Bテストのために複数のパターンのページを短期間で用意したい場合など、これまでは不可能だった迅速な対応が可能になった。利用者の声も肯定的で、「操作は簡単で直感的に作業できる」、「作業時間は短縮され、効率は劇的に変わった」 といった感想が寄せられたという。

 具体的な数値として、クラウド型CMS導入前と比較し、新規ページ制作にかかる作業日数は3分の1に削減された。さらに、制作のスピードアップによって、PDCAを回すためのページ制作量も約3倍に向上した。住谷氏は「数値としてもいい結果が出た施策」と評価しており、これにより、Webサイト改善の土台が確立されたと言えるだろう。

次のページ
Webサイト訪問数向上を阻む3つの課題&解決策とは?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
MarkeZine Day 2025 Spring連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/07/15 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49459

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング