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広告産業のパーパスを考える

既定路線の外にポテンシャルが。アースミュージック&エコロジー坂巻暢彦氏が持つ「広告会社への期待値」

 広告・マーケティング領域でもAIの本格的な実装が進み、単なる「効率化/代替」から「人間との有機的連携・可能性の拡張」へと活用の文脈が変化してきました。 そんな流れもあり、いま多くのマーケター・クリエイターが「自身の専門性」を見つめ直しているのではないでしょうか。本連載では、博報堂/SIXのクリエイティブディレクター藤平達之さんが、様々な立場・役割の方とのディスカッションを通して、広告会社の強みに改めて向き合い、最終的には「広告産業のパーパス」を見つけていきます。初回は、earth music&ecologyの事業を統括し、ブランドのV字回復を率いているストライプインターナショナル 執行役員 坂巻暢彦さんと対談。広告会社への期待値は「クリエイティブな視点・発想」だと話す坂巻さんは、何でも「真面目にふざける」ことを求めているそうです。

新連載「広告産業のパーパスを考える」スタート

藤平:連載の初回オファーを快諾いただきありがとうございます。はじめにこの連載の主旨(背景)について少しお話しさせてください。

 いま、広告産業はとても難しい状況にいると考えています。祖業である広告はメディアトレンドも生活者の興味関心も下火ですし、生成AIによって創造性は揺さぶられ、クライアントで内製化が進み、コンサル会社という“強敵”もいるなど、逆風と言えるものを挙げるとキリがありません。そんな中で、この先も広告産業に期待されていること、あるいはこれから開拓すべき可能性や余白を探していくために、この連載をスタートしました。

博報堂/SIX クリエイティブディレクター 藤平達之氏
博報堂/SIX クリエイティブディレクター 藤平達之氏

 MarkeZineの担当編集によると、業界の重鎮による広告会社要不要論は各所で見かけるが、この連載はこれから業界をリードする(かもしれない)若手が、ポジティブに&希望をもって広告産業の未来を考えていけるような内容にしたいそうです。……なんて言っても、坂巻さんは広告産業の未来には特にご興味ないでしょうが(笑)。

坂巻:そうですね(笑)。興味がないわけではないのですが、「専門じゃないのでわからない」というのが正直なところです。

藤平:ですよね(笑)。ですが、こうした議論を通じて広告産業が進化できれば、きっと事業会社にも還元されていくだろうと思っています。なので、今日は坂巻さんが広告会社にどんな期待を持っているのかを色々お聞かせください。まずは改めて、坂巻さんのキャリアをお伺いできますか? 

坂巻:私はアパレルの専門学校を卒業して、最初は販売スタッフとしてアパレル業界に入りました。3年くらい販売を経験した後、商品開発系のメーカーに転職しまして、そこで取引先としてお世話になっていたのが今いるストライプインターナショナル(旧クロスカンパニー)です。今の会社に入って、もう19年くらいになりますね。現在はearth music&ecologyをはじめGreen Parks、AMERICAN HOLICも含む3ブランドの事業全体を見ています。

事業責任者の横には、クリエイティブディレクターを

藤平:いきなり本題に入りますが、 坂巻さんは、earth music&ecologyなどの事業を統括されている立場から「広告会社」をどのように見られていますか?

 個人的には、事業会社が広告会社に依頼している領域は、「事業」という観点で見ると極めて限定的なのではと思っています。一方で、僕が大事にしている「ブランド」「クリエイティビティ」の概念は、実は事業全体をレバレッジしていく原動力になるのではと思ったりもしています。坂巻さんの立場・リアルな目線ではいかがでしょうか?

坂巻:大きな話からすると、私は事業を「半分・理論」「半分・想像/創造」という考え方で見ています。社会人MBAに通い、マーケティング理論は一通り勉強しましたが、実務の視点で言うとマーケティング理論はやはり事業運営の手段の一つ、さらには「売れた・売れなかった」を後から分析・説明するツールに過ぎないなと。

株式会社ストライプインターナショナル 執行役員 事業本部長 兼 第1事業部部長 兼  坂巻暢彦氏
株式会社ストライプインターナショナル 執行役員 事業本部長
兼 第1事業部earth music&ecology 部長
兼 第2事業部Green Parks 部長 坂巻暢彦氏

 私の考えでは、もう半分の「想像/創造」に欠かせないのが、広告会社のみなさんです。事業を動かす時、事業責任者1人に、クリエイティブディレクターが1人付くべきだと考えています。

 「こういうことをしたい」と思い描くものを、クリエイティブディレクターが率いるチームが、いろんな形で表現してくださる。それが私にとっては素晴らしく心地いいんです。事業を成長させるために外せない、重要な要素ですね。

藤平:ちょっと個人的な解釈が入ってしまうかもしれませんが、ということは、坂巻さんが広告会社に期待しているのは「問いを立て直して、新しい答えを作り出す能力」といったことでしょうか。

坂巻:そうですね。我々は限られた予算でかつ色々な制限がある中で、動かないといけません。そうしたルールの中で、こちら側(作り手)の思いをくみ取り、それをユニークに捉え直して下さる。そして、最大限良いものを作ろうとして下さる。その想いとアイデア、それを形にしていただく力に助けられていると思います。

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いまの広告会社に足りないのは「真面目にふざける」バランス?

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47851

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