クロス・マーケティングは、明治大学商学部の加藤拓巳准教授と共同研究を行い、「消費者のブランドに対する態度と回答速度の関係」について検証した結果を公表した。研究成果は「International Journal of Japan Association for Management Systems」で発表されている。
本研究は、マーケティングリサーチにおける"言行不一致"の問題に着目。調査では商品の購入意向を肯定的に表明したにもかかわらず、実際には商品を購入しない人が一定割合存在しており、調査の精度を高めるためには、消費者の購入意思決定の心理メカニズムの理解が重要となる。
二重過程理論によると、人間の意思決定は速くて直感的な「System 1」と、ゆっくりで分析的な「System 2」の2つの異なる過程に分類される。食品やカフェのように、嗜好が安定していて習慣的な購入行動が根付いている商材では、無意識かつ瞬時に意思決定が行われる傾向がある。反対に、自動車や家のように高額な商材では、多面的に情報を整理して慎重に意思決定する傾向にある。
今回の研究では、日常的な食料品として緑茶とカフェを対象として、「購入意向の設問に速く回答する人のほうが、その後実際の購入確率が高いか?」というリサーチクエスチョンを検証した。検証には、スマホ・PCに表示される画像や文字に対して、直感的に判断するまでの脳の反応速度を測定し、その結果を分析する同社のサービス「潜在リサーチ」を用いた。

出典:Kato, T., Minegishi, S., Kobayashi, R., Umeyama, T. (2025). Relationship between purchase intention response speed and purchase behavior. International Journal of Japan Association for Management Systems, 17(1), 41-46. https://doi.org/10.14790/ijams.17.1_41
その結果、「調査で購入意向を表明した人のうち、その後実際に購入しない人(偽陽性)」、「調査で購入意向を表明せず、かつその後購入しなかった人(偽陰性)」よりも、「調査で購入意向を表明し、その後実際に購入する人(真陽性)」のほうが速い回答になることが確認された。各グループの回答時間をあらかじめ把握することで、購入態度の真偽を見極める閾値として利用できる可能性があるという。
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