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予算ゼロ&1人マーケでもできる!ゼロから始めるBtoBマーケ

BtoBマーケ戦略の考え方は3パターンでOK。全60の施策から優先順位を決める考え方

 ベンチャーBtoB企業であるSAKIYOMIでマーケティング組織をゼロから立ち上げ、月間平均5,000リードへと伸ばしてきたCMOの田中龍之介氏。少ないリソースからどのようにBtoBマーケティングを始め、成果を出してきたのか。本連載では、同氏が執筆した最新書籍『営業してない相手から“契約したい”と言わせる マーケティングの全施策60』からMarkeZine読者にお薦めの内容をピックアップしてお届けする。初回となる本稿のテーマは、「自社の事業に適した施策の優先順位」を知るための三つの観点だ。

※本稿は『営業してない相手から“契約したい”と言わせる マーケティングの全施策60』(ブックダム刊)の一部を、著者の協力を得ながらMarkeZine向けに再編したものです。

全部やらなくて良い。自社にあったマーケ施策の優先順位とは?

 BtoBマーケティングはやるべきことが山ほどあります。「どこから手をつければ良いの?」と悩むことは多いでしょう。

 しかし、すべてを完璧にやる必要はありません。ポイントは、自分たちの事業戦略上「ここから始めるべき」という優先順位を見極めることです。

 この連載では実際に私がマーケ予算ゼロの「誰も知らない無名のベンチャー企業」で、ゼロからBtoBマーケを立ち上げる中で見つけた勝ちパターンを解説していきます。

 その一歩目としてまず今回は、以下の三つの視点からBtoBマーケティングの施策を整理し、自社に最適な戦略とその優先順位を見つけるための方法を紹介します。

<BtoBマーケ戦略の考え方は3パターン>

1.事業/経営視点:優先順位は受注に近い順

2.顧客/業界別:顧客視点×ビジネスモデルで四つに分類

3.ボトルネック別:基準値との比較→課題を特定する

観点1.事業/経営視点:優先順位は受注に近い順

事業成長のカギはマーケ予算増加の好循環にあり

 元も子もない話をしますが、マーケティングで成功するためには、まずマーケ予算を増やすことが重要です。そのためには事業を成長させ、売上を増やすことが必要です。結果、マーケティング予算が増え、さらに事業を伸ばすための次なる投資ができるようになります。

 そしてここには「規模の経済」のような効果が働きます。許容できるマーケ予算が大きければ大きいほど、同時に動かせるマーケ施策の数が増えるのです。そうすると各マーケ施策のシナジーが生まれ、ますます各施策の成功確率は上がります。

 この好循環を作ることは、事業責任者や経営者として欠かせない観点です。

受注に近い順に施策を進めるのが成功の鉄則

 好循環を生み出すためにまず取り組むべきは、マーケティングファネルで考えた時に受注に近い施策です。

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 受注に近いということは基本的に、次に当てはまるような施策です。

  • 施策の実施から受注までのタイムラグが短い(すぐ結果に反映される)
  • 必要な予算が少ない(必要な工数が少ない)
  • 難易度が低い(再現性が高い)

 逆に比較的受注とは遠いもの、たとえばマス広告やコンテンツマーケではお金や時間がかかり、再現性も低くなります。また、これらの施策は単発の投資ではあまり意味がなく、中長期的に投資し続けることが重要になってきます。

 「売上が増える→マーケ予算が増える」の好循環を作るためにも、真っ先に改善すべきは受注に近いもの、つまりは「顕在層」に向けた施策。特にLP改善が挙げられます。

よくある失敗例:いきなり潜在層向けにマーケ施策を打ち、費用対効果が見合わない

 足元が整っていない状態で、ファネルの初期段階(潜在層:認知〜初期接触)に大きな広告予算を投下してしまうことがあります。

<例:アポ率5%・受注率5%の場合>

・CPA:2,000円

・アポ単価:4万円

・受注単価:80万円

 CPAはかなり安いにも関わらず、アポ率と受注率が悪いがゆえに、商材の単価によっては費用対効果が見合わない、という判断になってしまうでしょう。しかし、この広告のクリエイティブや施策自体は、パフォーマンスが良い可能性があります。実際に、「アポ率や受注率が改善した後に今まで成果の出なかったマーケ施策を試す→一気に費用対効果が合うようになる」といったケースはよくあるのです。ここからも重要なのは改善する順番だとわかります。

【観点1のまとめ】顕在層 vs 潜在層:どこに力を入れるべきか?

 ここまでのように、潜在層よりも顕在層への施策を先に注力すべきですが、改めて目指すべき数字の基準とセットで整理しておきます。

顕在層向けの施策の特徴(まずはここから)

  • 成果が早く出る:短期間で結果が見える
  • 難度が低く、再現性が高い:少ない変数でコントロールしやすい
  • 予算が少なくて済む:営業マンのスキル改善などで対応可能
  • 1件の商談改善で1件の受注につながる
  • ただし、ここはブランドの中長期的な差別化にはならない

潜在層向けの施策の特徴

  • 成果が出るまで時間がかかる:長期間の施策が必要
  • 難度が高く、再現性が低い:複雑な変数が多く絡む
  • 予算が大きくなる:マス向けの施策は大きな予算が必要
  • 多くのリード改善が必要(例:100件のリード改善→10件商談→1件の受注)
  • ただし、ここがブランドの中長期的な差別化においては一番重要

目指すべき基準:どの数値を基準に判断すれば良いか?

  • LPのCVR2%
  • アポ率20%
  • 受注率20%

※上記を下から順に整えていきます。

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観点2.顧客/業界別:顧客視点×ビジネスモデルで四つに分類

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この記事の著者

田中 龍之介(タナカ リュウノスケ)

著書:『マーケティングの全施策60

2019年にSAKIYOMIに入社し、マーケティング責任者兼3つの新規事業の責任者を経て、執行役員に就任。SAKIYOMIでは、BtoBマーケティング機能を0から立ち上げ、平均5,000件/月のリードを獲得。自社メディア月間50万PV、YouTubeフォロワー3万人、Ins...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/48286

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