観点3.ボトルネック別:基準値との数値比較→課題を特定する
三つ目の観点は、目標KPIとのギャップが大きい箇所をファネルごとに洗い出して優先順位を決める、ボトルネック解消型の考え方です。
次の二つがポイントとなります。
- 数値を基にファネルの各ステージでボトルネックを特定
- ボトルネックから優先的に改善していくことで、マーケティング施策の効果を最大化し、受注数を増やす。特に目指すべき基準値とのギャップが大きい箇所は、改善余地が大きく、改善難易度も低いケースが多い
基準値の目安
商材の単価によって目指すべき基準値は多少変わりますが、月30~100万円の商材を想定すると、以下が基準値となります。
- 必要リード数:アポ率、受注率を基に割り戻す形で算出
- アポ率:サービス資料経由は20~30% 、セミナー経由/ホワイトペーパー経由は10%
- 受注率:20%
上記の場合、計算すると受注1件に必要なリード数は次の通りです。
- サービス資料経由:25件のリード
- セミナー経由/ホワイトペーパー経由:50件のリード
ボトルネックの特定と改善方法
目標の受注数に達していない場合、どこかにボトルネックがあると考えられます。以下の流れでボトルネックを特定し、改善しましょう。
1.各ファネルステージの歩留まり率を確認
- LP:PV数に対するCVR(2%)をチェック
- アポ率:リードに対するアポ獲得率(10-20%)をチェック
- 受注率:アポ数から実際の受注率(20%)をチェック
2.特定したボトルネックに対して施策を実施
-
資料DL数やセミナー参加者数に問題がある場合
→LPの改善やセミナー企画の訴求力を見直す -
アポ率に問題がある場合
→トークスクリプトやコール体制を見直す -
受注率に問題がある場合
→営業資料やセールスの育成体制を見直す
3.各フローの遷移率で基準をクリアしている
次の二つのいずれか。
- マーケ予算を増やして投資を強化
- プロダクトを見直してLTVをさらに引き上げる
例外:ボトルネックの解消を優先しないパターン3選
1.予算に余裕があり同時並行で進める場合
もし予算に余裕がある場合は、複数の施策を同時並行で進めることが可能です。この場合、受注に近い部分からの改善だけでなく、リード数の増加やボトルネックの特定と改善も同時に行うことで、より最短で成果を上げるられす。
2.第一想起のポジション獲得を最優先にする場合
特定の業界や市場で第一想起のポジションを獲得することが重要な場合は、そのための施策を最優先に実施します。
実際にSAKIYOMIでは、Instagram支援事業に参入当初、明らかに第一想起のポジションが空いていたことと、競合のコンテンツマーケティングが強くなかったことから、序盤にSEOとYouTubeに先行投資をしていました。結果的に、今では強力なリード獲得チャネルとなっているだけでなく、業界内の第一想起獲得にかなり貢献しており、競合優位性の獲得にもつながっています。
3.エンタープライズ一点狙い or PLG型の場合(商談なし)
エンタープライズ一点狙いする場合や、製品主導の成長(Product-Led Growth/PLG)型のビジネスモデルでは、商談を経ずに直接的にユーザーにアプローチする施策が効果的です。この場合、紹介や代理店を通じたアプローチや、ユーザーが自発的に製品を試す環境を整えることが重要です。
今回は、BtoBマーケティングの施策を三つの観点から整理し、自社に最適な戦略とその優先順位を見つけるための方法を紹介しました。今後BtoBマーケティングをゼロから始めたい、より本格化させたいとお考えの方にとってヒントとなれば幸いです。今回の内容が参考になった方は、こちらの記事をぜひ社内マーケチームで共有しながら取り組んでみてください。次回は、リード獲得後の商談化率や受注率を最大化するための考え方を解説する予定です。
なお、その他のBtoBマーケの考え方や施策については、YouTubeでも解説しております。書籍と併せてぜひご活用ください。
※本稿は『営業してない相手から“契約したい”と言わせる マーケティングの全施策60』(ブックダム刊)の一部を、著者の協力を得ながらMarkeZine向けに再編したものです。
