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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

「界隈」は“トライブ”と何が違う? SNSが育てた共感圏の正体とマーケターの持つべき視点

 本連載では、スパイスボックスの事業統括責任者を務める森竹アルが、SNSを起点に生まれる最新のマーケティングトレンドを探り、その実践的ヒントを提供します。注目のキーワード「界隈」を紐解くシリーズの第1回は、まず「界隈」とは何か、その本質に迫ります。「トライブ」との違いといった基本の整理から、マーケティングで活用する際の注意点、そして秘められた可能性まで、詳しくご紹介します。

「界隈」とは何か?SNS時代の“部族”を読み解く

SNSデータ解析を活かしたマーケティング支援をしているスパイスボックスでは、博報堂生活者発想技術研究所とともに「界隈」についての共同研究を行っています。「界隈」についての基礎理解についてはこちらの記事をご覧ください。

 2024年のユーキャン・流行語大賞トップ10にランクインした「界隈」というワード。「K-POP界隈」「サンリオ界隈」といった特定の趣味嗜好をくくる表現として使われたり、「スタートアップ界隈」「美容師界隈」といった特定の人々をくくったり、「風呂キャンセル界隈」「伊能忠敬界隈」といった特定の行動を造語で表現したり、「界隈」という言葉はここ1年で頻繁に耳にするようになりました。

 元来の「界隈」とは、「渋谷界隈」「銀座界隈」といった特定の(物理的な)場所を指し示す意味合いでしたが、近年の多様化した人々の多様な側面を端的に表現するのに便利な汎用的表現として定着してきました

 「界隈」はなぜ生まれたのか? 筆者はSNSプラットフォームの影響が多分にあると考えています。「界隈」という言葉が生まれる以前から、マーケティング用語として「トライブ」という言葉がありました。トライブは直訳すると「部族」を意味します。

 これは、たとえば「年齢:30代、性別:女性、居住地:東京」といったデモグラフィック情報で顧客を区切るのではなく、「オーガニック志向」「自己実現欲求高め」「週末アクティブ」「趣味はキャンプ」といった価値観やライフスタイルに着目するアプローチです。

 この価値観や趣味嗜好の種類を指して「トライブ」と呼びます。SNSの普及によって人々が受け取る情報が細分化し、ソーシャルグラフ(SNS上のつながり)の個別最適化が進んでいったことが影響しています。

 「生活者が真に求めていること」を捉えるトライブの視点は、マーケティングにおいて非常に重要になりました

「界隈」と「トライブ」の違いとは?

 では、このトライブと「界隈」の違いは何か。最大の違いは「界隈」が「生活者起点」であるという点です。

 トライブはあくまで生活者のニーズを把握するために第三者がタグ付けした概念でした。しかし、「界隈」は生活者起点の言葉であり、中には生活者自身が「#◎◎界隈」と自分をタグ付けしたりします。

 つまり「界隈」とは、一過性のトレンドワードというより、価値観・趣味嗜好などの様々な興味領域の多様化・細分化が進み、生活者起点の言葉として定着した事象と言えます。

 生活者が起点となっているため、それぞれの「界隈」にはトライブのレベルを超えるほどの強いモチベーションがあり、SNSプラットフォームが増幅装置となる共感圏が存在しています。これを理解し活かすことが、マーケティング応用の大きな可能性につながるのです。

画像を説明するテキストなくても可
トライブと「界隈」の関係性
(クリックすると拡大します)

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SNSが界隈を育む理由 プラットフォーム別“界隈の棲み分け”

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/31 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49788

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