散在する「〇〇マーケティング」を分類し体系化
アンミカ氏が「白って200色あんねん」と表現したように、身近なものも分類してみると想像以上に多様なことがあります。マーケティングの世界も同様です。P&G、ロート製薬、ロクシタン、スマートニュースなどで活躍してきたマーケター・西口一希氏は、「〇〇マーケティングは115種類ある」と語ります。
本日は、西口氏が8年かけて知識を再整理した新刊『マーケティング手法大全 トップマーケターを目指す人が知っておきたい12分野115種のメソッド』(翔泳社)をご紹介します。

本書は、マーケティングの全体像を明確にすべく、世に散在する「〇〇マーケティング」を分類し体系化したものです。従来のマーケティング手法の中から、理解すべき12分野24種の手法を重点的に解説。また、それらとあわせて活用できる「顧客起点マーケティング」と「AIマーケティング」を、これからのマーケティングに欠かせない手法として深掘りしています。残りの89種も事例とともに網羅的に整理されており、実務に役立つ知見が詰まっています。
12分野24種のマーケティング手法一覧
- 分野1:マス(Mass)
- 分野2:1to1(One to One)、パーソナライズド(Personalized)
- 分野3:インターネット(Internet)、デジタル(Digital)
- 分野4:ウェブサイト(Website)、検索エンジン(Search Engine)
- 分野5:SNS(Social Networking Service)、ソーシャルメディア(Social Media)
- 分野6:モバイル(Mobile)
- 分野7:データドリブン(Data-Driven)
- 分野8:小売/リテール(Retail)
- 分野9:ダイレクト(Direct)、通販(Mail Order)、EC(E-Commerce)、DtoC(Direct to Consumer)
- 分野10:共同(Co-)、ショッパー(Shopper)
- 分野11:産業(Industrial)、ビジネス(Business)、トレード(Trade)、BtoB(Business to Business)、アカウントベースド(Account-Based)
- 分野12:ブランド(Brand)/ブランディング(Branding)
なぜ今、マーケティング手法の体系化が必要なのか?
昨今、マーケティングの全体像をメタ的に整理・体系化する動きが広がっています。たとえば、トライバルメディアハウス 池田紀行氏の『売上の地図 3万人を指導したマーケティングの人気講師が教える「売上」を左右する20のヒント』は売上に影響を与える20個の説明変数を構造化し、マーケティング施策を整理。また、立命館大学ビジネススクール 鳥山正博教授の『常識をいったん捨てて、思考の自由度を上げる マーケティングの新しい地図』では、過去の経緯も踏まえて増加した手法の棚卸しをしています。
なぜ今、こうした棚卸しと体系化が必要なのでしょうか?
西口氏はその背景に、2000年代以降のスマートフォンとWi-Fiの普及によるメディア環境の変化を挙げます。マスメディアの時代からデジタルメディアの時代へと移行し、マーケティング手法が急速に増加しました。加えて、デジタル技術の進化が著しく、知識の陳腐化も加速しています。その結果、膨大な手法が分断されたまま現場で使われ、全体像を把握しにくくなっているのです。
そしてマーケティング手法の専門化が進む中、CMOには分野横断の深い知見が求められるようになりました。体系化が不十分なままだと、無駄な投資や機会損失につながる恐れがあります。たとえば、マスメディアが有効なプロダクトに対し、デジタル施策ばかりを打って効果が上がらない──といった誤った判断も生じかねません。
こうした課題意識のもと、西口氏は本書を執筆。理論だけでなく、事業会社での活用事例も交えて語られており、実務に引き寄せながら読み進めることができます。
西口氏が考える、今後欠かせないマーケティング手法
第3章では、これからの時代に欠かせない2つの新しいマーケティング手法として「顧客起点マーケティング」と、「AIマーケティング」が紹介されています。
西口氏提唱の「顧客起点マーケティング」は、従来の12分野のマーケティングとは異なり、演繹法と帰納法を組み合わせたアプローチを取ります。実在する1人の顧客(N=1)から仮説を導き、5segsや9segsで顧客をセグメント化。その上で、潜在顧客(WHO)と、その顧客が価値を見出すプロダクトの便益や独自性(WHAT)を洞察し、最適なマーケティング手法を組み合わせて事業成長を目指すものです。
また、未来予測を含む「AIマーケティング」の解説は、これからのマーケターに必要なスキルや考え方の示唆も与えてくれます。マーケティングは今や、枝葉の知識では太刀打ちできない広がりを見せています。本書は、知識のアップデートが欠かせないマーケターや、今こそ全体像をつかみ直したい方にとって、確かな道標となるはずです。
#マーケジン読書会に参加しませんか?
マーケターのための読書コミュニティ「#マーケジン読書会」を始めました。
ぜひ本書を読んで、気づきや感想に「#マーケジン読書会」のハッシュタグをつけて、X(旧Twitter)に投稿してください。あなたの投稿が、次なるマーケティングのヒントにつながるかもしれません。
\さらに!本書を読みたい方必見/
抽選で3名様に本書をプレゼントします! 応募フォームから、【6月6日(金)まで】にお申し込みください(※会員登録が必要です)。