2026年6月4日、ロッテのロングセラー菓子「パイの実」の公式Webアニメ『パイの実 おしの森へようこそ!』の配信がスタートした。2024年のリニューアルを機に、「パイの実の主役はパイ」という徹底した機能価値の訴求で、前年比116%の回復を遂げた同ブランドが、次に挑むのが「情緒価値の拡張」だ。現代の「推し活」文脈を取り入れた狙いや、本取り組みの全体像について、ロッテ マーケティング本部 第一ブランド戦略部 焼き菓子企画課 久保田 祐揮氏に話を聞いた。
ロッテ「パイの実」をアニメ化
2026年6月4日、ロッテ公式YouTubeでアニメ『パイの実 おしの森へようこそ!』の配信がスタートした。長年パッケージに登場していたリス2匹に「パイル」「ロクシー」と名前を与え、声優には『クレヨンしんちゃん』野原しんのすけ役の小林由美子氏(パイル役)、『プリキュア』キュアエール役の引坂理絵氏(ロクシー役)を起用。
『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』を手がけるシンエイ動画とタッグを組み、TOHO animation STUDIOが制作する全8話予定の作品だ。公開日の2026年6月4日は、パイ生地「64層」とロクシーの誕生日を重ねた記念日でもある。
これは2026年4月に始まった「パイの実 おしの森プロジェクト」第二弾にあたる。第一弾は毎週水・金に公式Xで発信する4コマ漫画(全64話)で、開始以来SNSでの反応は上々だ。
「パイの実」が置かれた状況と、価値の再定義
アニメ化という大きな挑戦の前に、ブランドマネージャーの久保田氏は数年前からブランドの基礎を立て直す仕事に取り組んできた。
きっかけは、2020年頃から続いた「パイの実」の売上の下降だった。話題化施策や新商品を投入しても効果は限定的。継続的に調査は重ねていたが、消費者から返ってくるのは「嫌いじゃないけど、なんとなく買わない」という曖昧な声ばかりで、停滞を打破する糸口は見えなかった。
そこで久保田氏は「売れない理由」ではなく「買われる理由」へと視点を移す。「9セグマップ」で顧客を分類。買い続けてくれる「積極ロイヤル顧客」へのデプスインタビューを重ね、インサイトを深掘りした。見えてきたのがパイの実が持つ「機能価値」と「情緒価値」の二軸だった。
機能価値は「チョコ菓子ではなく、唯一無二のパイのお菓子」。久保田氏は「パイの実の主役はパイ」というスローガンを掲げ、社内に根強かった“チョコレート菓子”という固定観念を覆すパーセプションチェンジに挑んだ。その結実が、ブランド発売45周年にあたる2024年に実施した「史上最高のサクサク食感」を謳うパイ生地リニューアルだ。
同年、象徴的な商品として、チョコレートを抜いた「シャカシャカパイのみセット」をEC限定で販売したところ、即日完売しサーバーがダウンするほどの反響を得た。こうした一連の仕掛けによって、販売動向は値上げの影響を受けつつも、2024年の販売金額は前年比116%と回復した。
機能面での訴求は現在も続けており、2026年5月にはチョコの代わりにクリームを封入した「とろリッチパイの実」を発売した。「パイが主役」という軸を貫くブランドの拡張が続いている。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
新規会員登録無料のご案内
- ・全ての過去記事が閲覧できます
※プレミアム記事(有料)は除く - ・会員限定メルマガを受信できます
- ・翔泳社の本が買える!500円分のポイントをプレゼント
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)
早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
