UGCを生むのは、余白のある体験設計
久保田氏が、今回のプロジェクトの体験設計で重視したのは「手順」だ。「一気に情報を公開しても、一方的なプッシュ型コミュニケーションになってしまいます」(久保田氏)。
そこでまず3月、あえて告知せずパッケージにアニメのキャラクターを投入した。「あれ、何か変わった?」という気づきを生んだ後、4コマ漫画、そしてアニメへと段階的に認知を引き上げる。グッズ展開も時期をずらし、お客様側に余白を残すことで、好きになってもらうことを目指した流れを設計した。
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2026年5月には、パイの実の「パイ」の部分を変えることができるアレンジシールを店頭で配布したところ、「ゆうきの実」など自分の名前に置き換えたSNS投稿を生んだ。6月10日に展開する「AI 4コマ」も、ファンが自ら遊び、語り、共有する場を開いている。
ブランドの資産価値を再定義するフェーズ
「推し活」文脈によって、UGC創出を狙った本プロジェクトは、数値面ではSNSのインプレッションが毎回1万を超え、パイの実全体の売上も好調を維持。ただし、久保田氏は明確に線を引く。
「今は、ブランドの資産価値を再定義するフェーズです。短期的な売上はKPIとせず、ブランド資産の拡大を指標としています」(久保田氏)。
そのため、お菓子の売上指標とは分けた上で、XなどのSNSでの反応からどれだけお客様に響いているかを数値含めて検証していくつもりだという。
久保田氏が描く未来像は、「パイの実ブランドのエントリーポイントをどこにでも置く」ことだ。
「今は、パイの実といえば小売店の菓子棚が入り口です。しかしIPが育てば、グッズやアニメをきっかけにブランドを知り、最終的にお菓子も手に取るなど、入り口の可能性が広がります。そして、最終的にパイの実ブランドのファンになっていただく、そんな循環する仕掛けにしたいです」(久保田氏)。
