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生活者は今、どんなメディアを「頼り」にしている?データで紐解くメディア接触の実態【お薦めの書籍】

 電通「2024 日本の広告費」によると、日本の総広告費は3年連続過去最高を更新しました。インターネット広告費が総広告費の5割近くを占めるまでに成長し、メディアの多様化も進むなど、生活者のコミュニケーションや情報伝達を取り巻く環境は刻々と変化しています。本記事では、多数のデータを基に、生活者のメディア接触におけるトレンドや変化を掘り下げる書籍を紹介します。

進むメディアの多様化、人々が「頼り」にしているのは?

 今回紹介する書籍は、電通メディアイノベーションラボの『情報メディア白書2025』(ダイヤモンド社)。600を超える統計データとともに、情報メディア産業の最新動向の分析や消費者行動の変化を紹介しています。

『情報メディア白書2025』 電通メディアイノベーションラボ(編)ダイヤモンド社 17,600円(税込)
情報メディア白書2025』 電通メディアイノベーションラボ(編)ダイヤモンド社 17,600円(税込)

 『情報メディア白書』は、情報メディア産業を13章に大別し、各産業の動向分析や解説、構造図やジャンルごとのデータを掲載したもの。加えて、情報メディア関連データやトレンド・注目ポイントを考察した特集も収録されています。

 今回で刊行32回目を迎える本書では、特集として「メディアの多様化が進む中、人々はどのようなメディアを『頼り』にしているのか」をテーマに取り上げています。

 電通メディアイノベーションラボ 研究主幹の森下真理子氏は、メディアの多様化が進む現代を以下のように表現。特集の中で、生活者が「頼りにしているメディア」について紐解きました。

 ある特定のメディアが圧倒的なリーチ力を持つ時代から、個々人が自身の興味関心を満たすような情報を得られるメディアを選び、利用する時代へとシフトしている

世代別に見る、様々なメディアの利用率と頼りにしている度合い

 森下氏は、電通メディアイノベーションラボが実施した「頼りにするメディアに関する調査」のデータを示しながら、生活者が普段利用するメディアの傾向を紹介しました。まず3ヵ月以内の利用率において、全体の1位は「ポータルのニュースサイト(70.8%)」に。うち53.1%の人は毎日1回以上利用すると答えました。次いで「民法の番組(69.8%)」「NHK(総合・Eテレ)の番組(53.2%)」「ネットショッピング・ECサイト(44.4%)」が挙がり、従来型のメディアとインターネット系のメディアが混在しています。

 次に、年齢によるメディア利用頻度の違いを見てみると、50代や60代は「テレビ・ラジオ」を最も頻繁に利用する傾向がある一方で、20代から40代はインターネットサイトやアプリ利用を指す「ネット・デジタル」がトップとなりました。さらに15~19歳は「SNS・ブログ」が最も高い割合となり、特に友人知人や芸能人・インフルエンサーといった個人発信の情報が大きなウェイトを占め、世代による明確な傾向の差が表れています。

 続いて、生活者が興味関心を持つジャンルに対して利用するメディアがどの程度「頼り」になっているかを尋ねた調査では、利用率と「頼りにする度合い(利用者ベース)」に相関は見られない結果に。「レシピ・料理サイト」「雑誌の健康誌」など、利用率が低くても頼りになると考えられているメディアも存在することがわかりました。

 また世代別で見た際の特筆すべき点として、森下氏は15~19歳と60代の傾向の差に着目。15~19歳の世代は60代ほど幅広く利用されているメディアが存在せず、「特定のメディアによってこの世代に広くリーチすることが容易でない」と指摘しました。また15~19歳は総じてネット系メディア、特に「SNS投稿やブログ」「動画・音声配信」をよく利用し、頼りにしていることも明らかになりました。

 この他、上記の世代の中間に位置する40代はネット系・従来型どちらのメディアにも強い依存を示さず、「メディアとの向き合い方において分水嶺ともいえるポジション」と森下氏は表現しました。

「推し」の有無で大きく変わるメディア接触

 また本書の特集では、他にも注目トピックスを紹介。そのうちの一つとして取り上げられたのが「推し活」です。「『推し活』を広告・マーケティングに活かすヒントを探る」と題した特集では、電通メディアイノベーションラボ メディアイノベーション研究部長を務める長谷川想氏が、「推し」の存在がメディア接触に与える影響について考察しました。

 電通メディアイノベーションラボの調査では「推し」がいる生活者は37.8%となり、「ファン・応援している人・もの」はあると答えた人も加えると47.0%と約半数におよびました。中でも女性の15~29歳では4分の3以上が「推し」がいるまたは「ファン」であると回答し、最も少ない男性の50~69歳でも3分の1弱となるなど、浸透している状況が浮かび上がりました。

 では、「推し」の有無によってメディア接触に変化は生まれるのでしょうか。調査によると、いずれの性別・年代でも1週間あたりのメディア接触時間において、「推し」のいる人がいない人を上回る結果となりました。「推し」の有無による差が顕著なのは15~29歳の若年層で、インターネットメディアの週あたり接触時間が男性は約1,000分、女性は約2,000分も「推し」あり層は多くなっていました。

 具体的なメディアの種類を調べると、「X(旧Twitter)」「Instagram」「TikTok」「YouTube」などのSNSは軒並み「推し」あり層の接触時間が「推し」なし層の2倍以上の伸び率に。中でも「X」は4倍近い伸び率となり、「Xは『推し活』の情報収集やコミュニティ形成のための鍵となるメディアとして、大きな役割を果たしている」と長谷川氏は見解を示しました。

 本書では、この他に「AIがデジタルマーケティングに与える影響」「リテールメディア最新動向」などのトピックも解説。今注目すべきトレンドや情報メディア産業13領域の動向とデータなど、マーケティングやメディアに関わる方が把握しておきたいポイントが詰まった一冊です。データから最新のメディア動向や消費者の変化をつかみたいマーケターは、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

本記事は株式会社電通からの献本に基づいて作成しております

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49037

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