PCユーザーにおける利用率13.6%──生活者への浸透が進む生成AI
まずは、生成AIの利用がどのように広がってきたのか、その歩みをデータから見ていきます。図表1は、インテージが保有するメディア接触ログデータ「i-SSP」に基づいた、生成AI利用率の推移です。ここでは、対象期間中のi-SSPモニターにおける、使用PCのブラウザを通じた主要な生成AIチャットサービスへの接触率を集計しています。なお、グラフ内にグレーで示す2024年7月から2025年2月の期間は、ブラウザと特定ページの挙動により実際よりも高い利用率が計測されたため、参考値として扱っています。

データソース:i-SSP(PCブラウザ)
期間:2022年12月~2025年5月
指標:PCサイト30秒以上接触率(集計対象者は月1回以上PC利用者)
調査手法:機械式
図表1の棒グラフから生活者全体の利用率を見ると、2022年末のサービス登場直後から利用者数は急増し、2023年4月には約5%に達しています。このピークの後は一時的に横ばいとなりますが、2024年春頃から再び上昇傾向に転じています。最近では2025年4月頃に写真に特定のテイストを加える画像編集が話題になったことも記憶に新しいでしょう。こうした新しい機能や使い方の登場、高性能モデルの無料キャンペーンなども後押しとなってか、利用率は過去最高の水準で推移しており、2025年5月時点では13.6%となっています。
データをさらに分解し、生活者の属性別に利用率の推移を確認すると、図表1の折れ線グラフで示したように、学生の利用率がTOTALよりも突出して高い水準となっていることがわかりました。また、学生の利用率は長期的なトレンドとしては上昇していながら、毎年3月頃・9月頃には利用率が落ち込む周期性が特徴的です。これらの時期は、学生の長期休暇のタイミングと一致していることから、多くの学生が学業と関連した目的で生成AIを積極的に活用していることがうかがえます。
スマートフォンアプリからの利用も一般的に
現在では、PCブラウザだけでなくスマートフォンから手軽に利用できるアプリも登場し、私たちの生活において生成AIはより身近な存在となりつつあります。図表2は、先ほどと同様に「i-SSP」のログデータを用いて、スマートフォン(Android)における主要な生成AIチャットサービスのアプリ利用率推移を集計したものです。

データソース:i-SSP MB(Android)
期間:2022年12月~2025年5月
指標:アプリ利用率/調査手法:機械式
アプリ版はブラウザ版から半年ほど遅れて、2023年7月から登場しました。当初、利用率は緩やかに推移していましたが、PCブラウザと同様、2024年春ごろから上昇に転じています。2025年5月における利用率は10.4%であり、PCブラウザからの利用率には及ばないものの、着実に利用者を増やしていると言えるでしょう。
これまで見てきたデータから分かるように、最初のサービス登場から2年半が経過した今日でも、生成AIの利用は拡大を続けています。また、今回の集計結果にはデスクトップアプリや組み込み機能を通じた生成AI利用が含まれていないことを踏まえると、実際には今回のデータが示す以上に普及が進んでいる可能性も考えられます。PCとスマートフォンの両デバイスで利用率が上昇し続けているこの事実は、生成AIがもはや一過性のバズワードや技術トレンドを超えて、日常生活に定着しつつあることを示しています。社会基盤に根付き始めたこのテクノロジーは、絶え間ない技術発展を背景に、今後も継続的に市場成長を進んでいく可能性が極めて高いと言えるでしょう。