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『MarkeZine』(雑誌)

第114号(2025年6月 最終号)
特集「未来を創る、企業の挑戦」

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【特集】ストレスフルな社会で高まる“セルフケア”のニーズ、注目のブランドを取材

急成長の「セルフケア市場」を紐解く──“足して癒やす”働き世代と、“そぎ落として整える”Z世代

 起きてから眠りにつくまで、常に何かしらの情報・コンテンツに触れている現代人。そんな日々の中で、心や脳が疲労していくことを実感している人は増えているのだろうか。近年、ビューティやファッション、飲食品のカテゴリでも「セルフケア」「ご自愛」の方向性を打ち出すブランドが増えている。本特集では、消費者のセルフケアに対するニーズの高まりや、そのニーズに応えている注目ブランドの動きを徹底取材。特集の1本目となる本稿では、電通の“女の子専門プランニングチーム”である「GIRL’S GOOD LAB」 3名への取材を通し、セルフケアトレンドの変遷や、世代別の特徴、マーケティング戦略に生かすためのヒントを探っていく。

セルフケアは「ご褒美」から「日常の中長期的なケア」へ

MarkeZine:さっそくですが、若年層女性のインサイトに詳しい「GIRL’S GOOD LAB」のみなさんは、近年のセルフケアニーズの高まりをどう捉えていますか?

飯野:ニーズ自体は明らかに高まっていて、商品やサービスの展開はますます増加しています。ただ、一口に「セルフケア」と言ってもその範囲は広く、様々な文脈が考えられるでしょう。美容や健康、癒やしはもちろん、最近では「嫌なことを避ける」「無理をしない」「自己肯定感を高める」といった“精神的なケア”まで含まれてきました。

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左から、GIRL’S GOOD LABに所属する飯野朝美さん、川畑茉衣さん、辰野アンナさん

MarkeZine:そもそも、セルフケアのニーズはいつごろから高まってきたのでしょうか?

川畑:コロナ禍の「ご自愛」ブームからですね。強制的に自分と向き合う時間が増え、多くの人が「自分を大切にする」ことの重要性に気づいた瞬間は間違いなくあったはず。とはいえ、現在の「セルフケア」は、コロナ禍の「ご自愛」とは少し形を変えてきていると私たちは考えています。

辰野:コロナ禍は「高級なスイーツを食べる」「ちょっといいホテルに泊まる」といった一過性のご褒美がメインでしたが、現在は中長期的なケアへのシフトを感じます。たとえば「睡眠環境を整える」「生活習慣を改善する」など、日常のなかで自分自身を労わりたい人が増えています。ただ、どちらも根幹にあるのは「自分を大切にしたい」という考え方です。

飯野:ニーズが高まっているというより、「コロナ禍を起点に価値観がシフトした」のかもしれません。現代人が「自分を大切にすることは心地いい」と気づいたのが、コロナ禍という瞬間だったのだと思います。

川畑:それにともなってか、若年層のあこがれの対象も変わってきています。いわゆるキラキラしたインフルエンサーよりも、自分を大切に生きている人への憧れが強まっているように感じますね。

働く世代は「プラス」、学生は「マイナス」で自分を癒やす

MarkeZine:セルフケアのニーズが多様化しているとのことですが、特に若年層に絞った場合、特徴や傾向はあるのでしょうか?

飯野:若年層と言っても、「働く世代」と「学生世代」ではケアしたいストレスの種類はもちろん、掛けられる時間と金額が大きく異なり、それにともなってセルフケアの方法も変わってきます。

 働く世代はお金があっても時間がありません。よって、自分のために時間を確保して、積極的に自己投資したり、贅沢をしたりといったプラスのセルフケア」を行う傾向が強いです。

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 一方、学生は時間があってもお金がありません。また、ストレスの主な種類は人間関係やSNSであることが多いです。よって、SNS断ちや人間関係のリセットといった、不要なものをそぎ落とす「マイナスのセルフケア」を行う傾向にあります。「無理なこと、嫌なことをしない」という選択が、自分の心を守ることにつながっているのでしょう。

 なお、一般的にセルフケアとは、働く世代のものとして語られることが多いですが、私たちは学生のこのようなトレンドも、セルフケアと捉えていいのではないかと考えています。

\ポイント/

● セルフケアは「ご褒美」から「日常のケア」へ

● 美容・健康だけでなく、「無理をしない」「嫌なことを避ける」などの精神的なケアも含まれる

● 働く世代は自己投資などの「プラスのセルフケア」を、学生はSNS断ちなどの「マイナスのセルフケア」を行う傾向にある

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「推し活」「編み物」「キャラクターグッズ」… 学生の癒やしは「好き」から始まる

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/09 09:30 https://markezine.jp/article/detail/49362

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