UGCが生まれやすい「土壌」を持つアパレル業界
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アパレル/ファッション業界は、SNS活用がさかんな業界の一つです。以下のような特徴があるため、基本的には口コミも自然発生しやすいと言えます。
- 有形商材で写真が撮りやすい
- 写真だけでも商品の魅力が伝わり、購買意欲を刺激できる(衝動買いを促しやすい)
- 購入した商品や着用画像を「他者に見せたい」という欲求を刺激できる
- トレンドがある
一方で、その活用には難しさもあります。それは、市場ごとに考え方が大きく異なるという点です。国内のアパレル市場は、価格帯ごとに「ラグジュアリー市場」「トレンド市場」「マスボリューム市場」の3つに大別されます。市場ごとの特徴や、ユーザーにどう受け取られやすいかを踏まえて、自社ブランドに合ったSNS活用方針を立てましょう。
ラグジュアリー市場
高価格帯のブランドで、特別感のあるアイテムを中心とした市場です。購入数に対するUGCの発生割合は高い傾向にありますが、そもそも購入機会が少ないため、投稿頻度はそれほど多くありません。
ブランドに対して憧れを持つフォロワーも多いため、イメージを崩さない発信や距離感を保ったコミュニケーションが重要です。あえてフォローバックをしない、UGCへのリアクションを行わない、高頻度の発信を控えるといった方針が有効な場合もあります。
トレンド市場
トレンドに合わせて打ち手や見せ方を柔軟に変える必要がある市場です。流行に即したスタイリングや商品選定が求められ、発信内容も季節や生活者のライフスタイルの変化に合わせて調整が必要です。
一方で、様々な施策を試しやすく、UGCをきっかけに商品が拡散される可能性も高くなります。ライブ配信やスタッフによるリアルな着こなし紹介など、新しい打ち手への反応が比較的得やすく、運用の工夫次第で最も伸びしろのある市場だと言えます。
マスボリューム市場
手に取りやすい価格帯の商品を扱う市場で、購入機会も多く、UGCも出やすい傾向があります。特に「安い」「お得」「まとめ買いした」といった価格訴求に関する投稿が多く、生活感のある口コミが集まりやすいのが特徴です。
ただし、UGCの表現が画一的になりやすく、ブランドの個性が伝わりにくくなる懸念もあります。ブランドとしてどのような体験価値を提供していくかを明確にし、投稿の質や広がり方を意識した設計が求められます。
アパレルブランドのSNS活用は「リアルさ」が重要
トレンド市場やマスボリューム市場に該当するブランドでは、SNSで発信する内容の「リアルさ」が重要です。ここで言うリアルさとは、「商品の質感や着用感、日常の中でのスタイリングなどが具体的に伝わる情報」のことです。ユーザーが実際に着たときのイメージを持てるほど、「欲しい」と思う気持ちが高まりやすくなります。
自社アカウントの発信だけでは、そのリアルさを十分に届けきれないこともあります。フォトスタジオで撮影した綺麗な宣材写真よりも、購入者が街中で撮った写真の方が、「等身大の自分にも似合いそう」と感じさせ、購買の後押しになることが多いのです。
このリアルさを高める手段として有効なのが、スタッフアカウントの活用やライブ配信です。スタッフの個性を活かしたスタイリングを紹介することで、スタッフ自身にファンがつき、来店のきっかけを作ることもできます。
そして、いずれの市場に該当するブランドでも、積極的に増やしていきたいのが、購入後の感想が綴られたUGCです。特に写真付きの投稿があると、リアルさがより伝わります。UGCを増やすには、どんなアクションが必要なのでしょうか。