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MarkeZine Day 2026 Online

MarkeZine Day 2026 Spring

マス広告中心からの脱却。ダヴがスクラブ市場を席巻した「ソーシャルファースト戦略」の全貌

 ユニリーバを代表するブランド「ダヴ(Dove)」。かつてはマス広告を主軸に成長を遂げてきた同ブランドが今、その「マス中心」の戦い方から大きな転換を図っている。その象徴が、スクラブ市場で圧倒的シェアを獲得した「ダヴ ふわとろクリーミースクラブ」だ。高単価・非日常使い・低予算という「三重苦」の逆境から、いかに爆発的ヒットを生み出したのか。「MarkeZine Day 2026 Spring」に登壇した前納有紀子氏の講演から、SNSの「界隈」と「アルゴリズム」を味方につける「ソーシャルファースト戦略」の全貌を紐解く。

異例の大ヒット。「第2の柱」へ急成長した「ダヴ ふわとろクリーミースクラブ」

 ダヴ(Dove)は、イギリスに本社を置くユニリーバが展開するパーソナルケアブランドだ。日本での販売がスタートしたのは1990年代後半で、現在日本のボディウォッシュ市場において第2位、液体ボディウォッシュというカテゴリーではナンバーワンのシェアを誇る。

 そんなダヴにおいて、今「第2の柱」として急成長を遂げているのが「ダヴ ふわとろクリーミースクラブ」だ。2021年にローンチされた本製品は、現在スクラブ市場で圧倒的なシェアを獲得している。

 しかし、発売当初は社内でもこれほどのビッグヒットになるとは思っていなかったのだという。というのも、Doveの主力であるボディウォッシュ製品が数百円の単価であるのに対し、本製品は1,000円を超える高単価な価格帯だったからだ。加えて「角質除去アイテムなので毎日使う製品ではない」「スクラブ用の広告予算がない」「高価格帯のプロモーション経験がない」という何重もの逆境を抱えていた。

 「社内的にも『この価格帯でダヴがここまでいける』とは正直思っていませんでしたし、『ダヴがそんな価格で売れるわけがない』という声もたくさんありました。ですが、だからこそ、この製品は我々が『ソーシャルファースト』の文脈において、投資の仕方を変える実験をするための非常に良いアイテムになったと振り返っています」(前納氏)

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ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 Personal Care Commercial Lead 前納 有紀子氏
ブランドマーケティングを専門に、現在はPersonal Care(ボディウォッシュ、デオドラント)商品のビジネス全体を統括。新製品の開発から、メディアプランニング、インフルエンサーマーケティング、営業企画、PL管理を通して長期的に成長できるビジネスモデルへの転換を担う。

マス広告からの脱却。ユニリーバが進める「ソーシャルファースト」戦略とは?

 ユニリーバは2025年、「ソーシャルファースト」という新戦略を打ち出した。最新のAIやテクノロジーを活用して、ソーシャルメディア上の会話や文化の変化を常に「傾聴」し、消費者の小さなコミュニティや熱狂的なファンダムの動向を捉える。そして、それを商品開発やパッケージデザイン、機敏な供給体制へと迅速に反映させていくという戦略だ。ポイントは、単なるマーケティング施策にとどまらず、研究開発(R&D)からサプライチェーンに至るまで、全社的なビジネスのあり方を変革するアプローチである点だ。

 「日本ではソーシャルファーストという言葉が独り歩きしがちですが、社内では『ソーシャルファースト・デマンドジェネレーション』と呼んでいます。つまり、需要を喚起することを目的に、その手段としてソーシャルファーストを掲げています」(前納氏)

 この戦略が重要視される背景には、消費者のメディア習慣の劇的な変化がある。日本のソーシャルメディアのアクティブユーザーは9,600万人といわれ、ソーシャルメディアはもはや日常の1コマとなっている。2023年には日本におけるデジタル広告の投資額が4マス広告を抜き、その存在感は増すばかりだ。

 「昔であれば、新製品を発売する時にはテレビCMを制作して大々的にキャンペーンを行い、それをYouTube用に転用してオンラインで配信し、InstagramなどのSNSに流していくというやり方でした。しかし現在は、そのやり方では通用しないことがわかっています。いろいろなPRのアセットを『マスの大きなグループ』に向けて一律に展開するのではなく、『ソーシャル上のコミュニティごと』に語りかけていく新しいやり方が必要なのです」(前納氏)

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ソーシャルファーストの3つの柱と、コミュニティの熱量を捉える仕掛け

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/04/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50546

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