SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Spring

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

新しい“家族”のかたちを調査と事例で紐解く。若者が家族づくりに消極的な背景とブランドの寄り添う表現

 若者は家族の大事さを知っていながら、家族づくりには消極的に――。国内でも“兆し”あるマーケティングの新たな潮流に、業界を先進するブランドはどう向き合っているのだろうか? 本連載では、世界で100ヵ国以上にオフィスを展開する広告代理店HAVASで日本のエグゼクティブ・ディレクターを担う北市卓史氏が、同社が持つ専門研究チームとそのネットワークを活かし、世界各国の先進的なブランドによる取り組み事例を紹介。今後国内でも注目すべきマーケティングトレンドを共有していく。今回取り上げるのは、時代によって揺れ動く「家族観」とその向き合い方だ。

若者のなかで失われる「家族づくり」の意義

 長い歴史のなかで、家族は個人やコミュニティ、そして社会全体を支える存在として機能してきました。調査からも、多くの生活者が家族を「かけがえのない存在」だと感じていることがわかります。家族と過ごす時間は、日常のなかで安心や喜びをもたらす大切なひとときであり、人生の幸福感を支える重要な要素です。さらに先行きが見えにくい現在においては、心の拠り所であるだけでなく、家族が生活や経済面を支えるセーフティーネットとしての役割も担っています。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

 一方で、「生まれ育った家族の一員であること」と、「自ら新しい家族をつくること」は、異なる行為です。そして、多くのGen Z(Z世代)は、家族そのものの価値は認めながらも、自分が家族を築くことには消極的な姿勢を示しており、実際に「家族をつくることは人生において大切だ」と考えている人は約半数にとどまっています。これはプロシューマー層(トレンドを生み出し、社会の消費行動に影響を与える生活者グループ)でも同じ傾向がみて取れます。

画像を説明するテキストなくても可
クリックすると拡大します

 社会の基盤であり、幸福の源泉でもあるはずの「家族」。それにもかかわらず、なぜ若者たちは新たに家族を築くことに消極的なのでしょうか。グローバル調査では「経済的理由」が全体の16%にとどまり、他の要因が示唆されています

 本記事では、生活者を理解するうえで欠かすことのできない「家族」というコミュニティに焦点を当てます。家族観が揺れ動く今、ブランドはいかに生活者と向き合い、信頼を育んでいくことができるのか。そのヒントを探っていきます。

新しい家族の在り方。「揃っていること」よりも重要なこと

Petron – A Melody Of Affection

画像を説明するテキストなくても可
ペトロン公式YouTubeチャンネルの動画より

 ペトロン(Petron)は、マレーシアでガソリンスタンドを展開するエネルギー会社です。同社のキャンペーンの中でも、ハリラヤ(ラマダン=断食月の終わりを祝う祭り)に合わせて描かれた家族の物語は、多くの人々の心を捉えました。

 主人公は、両親の離婚をきっかけに父と二人で暮らす少女、シャシャ。日々の暮らしのなかで、彼女は母のいない現実を少しずつ感じ取っていきます。そして家族が集う祝祭ハリラヤと、自身の誕生日が近づくにつれ、「母に会いたい」という気持ちが募っていき、父はその想いに戸惑いながらも、不器用ながら精一杯の愛情で娘に寄り添い続けます。

 やがてシャシャは、人と分かち合うことを大切にするハリラヤの風習や、周囲との温かな交流を通して、家族の形は違っても、自分が多くの愛情に支えられてきたことに気づき、心の成長を遂げます。そして迎えた誕生日。母もシャシャのもとに駆けつけ、家族それぞれの想いが重なり合う、というストーリーが描かれます。

 家族とは、揃っていることではなく、想いが受け継がれていること。このメッセージは大きな共感を呼び、人々を目的地へ運ぶエネルギー会社として、Petronは生活者とエンゲージメントを深めることに成功しています。

次のページ
様式としての家族から、感情のコミュニティへ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/02/25 07:00 https://markezine.jp/article/detail/50447

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング