電通は2月27日、「2024年 日本の広告費」の調査結果を発表した。2024年の総広告費は7兆6,730億円(前年比104.9%)となり、2021年から4年連続で成長し、3年連続で過去最高を更新した。
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「インターネット広告費」を中心に「マスコミ四媒体広告費」、「プロモーションメディア広告費」の3つのすべてのカテゴリーが成長。日本の広告市場は、好調な企業収益や消費意欲の活発化、世界的なイベント、インバウンド需要の高まりなどに支えられた。
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インターネット広告費が、総広告費に占める構成比は47.6%に
インターネット広告費は3兆6,517億円(前年比109.6%)と、前年より3,187億円増加した。動画広告を中心に成長し、総広告費に占める構成比は47.6%に達した。内訳を見ると、「インターネット広告媒体費」は2兆9,611億円(前年比110.2%)と二桁成長となった。
またインターネット広告媒体費の一部である「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」は1,520億円(前年比117.5%)と、好調を維持し、二桁成長となった。特に、SNS上の縦型動画広告やコネクテッドテレビ(インターネットに接続されたテレビ受像機)などの動画広告需要が一層高まり、市場全体の拡大に寄与した。見逃し無料配信動画サービスはユーザー数・再生数が増加。マスコミ四媒体由来のデジタル広告費における「テレビメディア関連動画広告費」は、653億円(前年比147.4%)と、前年に続き高い成長を示した。
また前年に続き、Podcastをはじめとする音声メディアでのデジタル展開が注目され、radikoを含むラジオデジタル広告への新規出稿数が増加、34億円(前年比121.4%)となった。
「物販系ECプラットフォーム広告費」は、オンライン通販の拡大により2,172億円(前年比103.4%)に増加。「インターネット広告制作費」も動画広告市場の拡大などにより4,734億円(前年比108.6%)に増加した。
マスコミ四媒体広告費は3年ぶりに回復
マスコミ四媒体広告費は2兆3,363億円(前年比100.9%)と、3年ぶりに前年を上回った。「新聞広告費」は3,417億円(前年比97.3%)と減少したが、「雑誌広告費」は1,179億円(前年比101.4%)、「ラジオ広告費」は1,162億円(前年比102.0%)、「テレビメディア広告費」は1兆7,605億円(前年比101.5%)とそれぞれ増加した。
紙の出版物推定販売金額は減少し前年比94.8%となったものの、雑誌広告費は7~9月期以降に回復。タイアップコンテンツのSNS上での二次展開や、広告主へのオリジナル企画コンテンツ提供などが増加したことでプラス成長となった。
プロモーションメディア広告費も成長
プロモーションメディア広告費は1兆6,850億円(前年比101.0%)と増加した。インバウンド需要などを背景に人流がコロナ禍前に戻ったことで、「交通広告」(1,598億円、前年比108.5%)や「屋外広告」(2,889億円、前年比100.8%)、「POP」(1,483億円、前年比101.5%)が増加した。
特に、「イベント・展示・映像他」は4,269億円(前年比111.0%)と大きく増加した。テーマパークへの大型投資が続き、海外アパレルブランド、ホテル、企業PR施設、自動車関連店舗の新装・改装需要やインバウンドなどの拡大が追い風となった。
一方、「折込」(2,442億円、前年比94.8%)や「DM(ダイレクト・メール)」(2,863億円、前年比92.3%)、「フリーペーパー」(1,306億円、前年比96.5%)はいずれも減少した。これは、制作費高騰による広告主のマーケティング予算の見直しや、2024年10月の郵便料金改定などの影響もあった。また大量発送型のDMから、購買決定に対する効果の高いDM需要への変化により、発送数などが絞られ、減少傾向が継続した。
なお、近年注目が高まっている「リテールメディア」については、同調査では統一された分類項目としては存在せず、掲載場所や形態によって様々な分類項目に分散して計上されているのが現状だ。同社は今後、リテールメディアの統計的な把握を安定的に行うためには、定義自体を定めることが必要と見解を示した。
インターネット広告媒体費の内訳については、CARTA COMMUNICATIONS、電通、電通デジタル、セプテーニの4社によって「2024年 インターネット広告媒体費詳細分析」を3月中旬に発表される予定だ。
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