ボストン コンサルティング グループ(BCG)とGoogleは共同で実施したリテールメディア市場調査の結果を報道資料を通じて発表した。
今回の調査は、小売業界における新たな収益源とされるリテールメディアが、現状では市場規模や成長余地が不明確なことから導入を躊躇する企業も多いことを前提課題とし、市場の全体像と成長の可能性を明らかにすることが狙いだ。
調査は消費財・家電メーカーと、それら商品の販売が主な小売業(GMS、スーパー、ディスカウントストア、コンビニ、ドラッグストア、家電量販店)を対象に、インタビューや財務諸表分析によって進められた。純粋なEC専業プラットフォームは調査対象に含まれていない。
合計予算規模は約3兆8,000億円 出稿の原資として9領域を特定
今回、リテールメディア広告出稿の原資となるメーカー・小売企業の販売促進費を9つの領域に分類。その費用構造を推計した。販売員派遣や値引き、商品クーポン・ポイント、折込チラシ、販促ツール、キャンペーン、リベートなど、従来広告費の集計に含まれていなかった多様な領域を、リテールメディア広告の原資として明確化した。
- 販売員派遣(メーカーが負担する店舗スタッフまたはラウンダーの人件費)
- 商品値引き(特売などで価格を下げるための原資)
- 商品クーポン/ポイント(特定商品の購入に付与される特典)
- 基本ポイント(小売企業が決済額に応じて付与するポイント)
- 折込(チラシの制作・配布費)
- 販促ツール(店頭 POP やデジタルサイネージなどの制作費)
- キャンペーン(懸賞やイベントなどの施策費)
- 基本リベート(取引条件に基づきメーカーが支払う割戻金)
- スポットリベート(新商品導入や棚確保、特定の催事などで発生する協賛金)
調査によると、これら9領域を合わせた販促費市場全体は2兆2,000億円規模に。これは従来の広告費1兆6,000億円と合わせ、およそ3兆8,000億円という予算規模となる。

2035年には約1兆円規模まで成長する見通し
同調査では、浮かび上がった約3.8兆円の予算について、「投資対効果(ROI)計測の感度」や「商習慣との結びつき」の観点から、各項目の今後のデジタルシフトの蓋然性を評価し、今後 10 年間の市場規模を推計。EC専業を除く店舗事業者のリテールメディア市場は、2025年の1,190億円から2035年には1兆905億円へと、約1兆円規模まで成長する見通しが示された。

なお、Googleがこの調査を受けて別途に発表した報道資料では、「生活者視点」に即したリテールメディアの開発・運用の重要性について言及。リテールメディア運用においては「体験設計」「送客設計」「ストア内ブースト」「ストア外ブースト」という4つの視点が重要であることを提唱した(下図参照)。ただ広告枠を販売するだけでなく、買いやすさや店舗への誘引、来店者の商品選択後押し、来店前の興味喚起といった顧客体験の全体設計が重要だとしている。

