なぜKFCがワイン専門店とコラボ?自社×外部データで導くインサイト
━━KFC独自のデータと、外部の「ライフスタイルデータ」を掛け合わせることで、どのような顧客体験の創出を目指しているのでしょうか。具体的なエピソードも交えて教えてください。
平田:お客さまの状態を深く理解しようとしたとき、購入履歴などのファーストパーティデータだけでは限界があります。年に数回しかKFCをご利用にならないお客さまについては、食生活全体を十分に把握することが難しいからです。
そこで、KFC以外でのライフスタイルまで含めて分析することで、より気の利いたコミュニケーションが実現できると考えています。
野中:日本KFCさまの持つファーストパーティデータと、外部のサードパーティデータを掛け合わせて分析した結果、非常に興味深いインサイトが得られました。競合となる大手ファストフードチェーンと比較した際、KFCをよく利用されるお客さまは、「果実系(ぶどう・ワインなど)」のフレーバーを好む傾向が顕著に見られたのです。
このデータの裏付けがあったからこそ、2025年~2026年にワイン専門店「エノテカ」さまとのコラボレーション施策を実現することができ、大きな反響につながりました。
平田:そのほかにも、気象データと連携し、天候に応じたリアルタイム施策も展開しています。例えば、雨の日にはデリバリー訴求のプッシュ通知を強化するといった運用です。
野中:生活に寄り添った場所、メディア、時間を選んだそれぞれの楽しみ方を訴求するコミュニケーションを届けることで、日常生活とKFCの距離をできるだけ近づけたいと考えています。自社データだけに閉じこもるのではなく、お客さまの日常データとKFCの接点を高度に結びつける。それによって、年に数回しか利用されないお客さまに対しても、生活の邪魔をしない最適なタイミングで情報を届ける1to1コミュニケーションを実現しています。
Brazeを最大活用する「3つの軸」とPDCAの高速化
━━最適なコミュニケーションとオファーを届けるために、Brazeをどのように運用されているのでしょうか。運用の工夫についてお聞かせください。
平田:Braze標準の機能群に加え、KFC独自のデータモデルやロジックを組み合わせて運用しています。一般的に、コミュニケーションの最適化を追求すると運用が複雑になりがちですが、Brazeは高度な要件であっても柔軟かつシンプルに実装できるため、現場にとって非常に扱いやすいツールです。
具体的には、「①誰に(Who)」「②いつ(When)」「③何を(What)」という3つの軸で、お客さま一人ひとりへのオファーを最適化しています。
「①誰に(ターゲットの最適化)」では、購買履歴やライフスタイルデータに加え、Braze標準搭載の予測モデルも活用しながら、精度の高いターゲティングを行っています。
「②いつ(タイミングの最適化)」では、KFC独自の予測モデルとBrazeを連携させ、お客さまごとに最適なタイミングでオファーを配信しています。
「③何を(コンテンツの最適化)」については、季節限定商品やキャンペーンが多いKFCならではの課題があります。そこで、社内のマーケティングカレンダーとBrazeのコンテンツ管理機能を連携させ、タイムリーな情報提供を可能にしました。
野中:Brazeは施策成果をリアルタイムで可視化できるため、高速にPDCAを回せる点も大きな強みです。これが高い成果につながっている要因の1つだと考えています。
平田:例えば、いつもは「オリジナルチキン」と「ビスケット」を購入されてるお客さまに対して、「期間限定チキンを1ピースだけ試してみませんか」と提案するなど、適切なクロスセル・アップセル施策も成果が出始めています。
野中:AIが定型業務やデータ処理を担い、人間は顧客戦略に集中する。BrazeとAIの活用によって、日本KFCさまとメンバーズが目指す「真の顧客中心マーケティング」が実現しつつあります。

