はてぶの国内シェアは75%
第2回SBM研究会において、はてなCTOの伊藤氏は、はてなブックマークの統計による現状と、リニューアルの成果、リニューアルの動機や裏側、そしてリニューアル後にこれから2009年上半期に取り組んでいきたい開発予定について、具体的な数字や実装方法を交えながら講演した。
統計のなかでも興味深かったのが、国内主要ブックマークサイトのシェア比較だ。新着のブックマーク記事一覧からasahi.comなど主要なサイトの新着記事のブックマーク数をジャンル別で比較したグラフが示された。これによると、はてなブックマークは日本国内で展開するブックマークサービスの中で、75%のシェアがありlivedoor Clipが10%強で続いている。ただし、これは国内記事を比較した場合で、海外サービスである、diggやdeliciousに比べると「巨人と蟻」だという。
リニューアルの成果
伊藤氏は続いてリニューアルの成果を示した。ユーザー数については、リニューアル前は1日あたり300人~350人程度が純増が、リニューアル後には400~640人と増えた。640人は「特需」としつつ、若干の増加傾向が見られるとした。またグラフの伸びとしては、UUのほうが顕著に現れているという。
今回のリニューアルの目玉のひとつであった「お気に入り」については、βリリース直後から上昇が見られ、上手くいっている様子が現れているようだ。リニューアル後、1週間のまとめとしては「全体的によい傾向が見られて、まずまずよかったのではないか」としながらも、今後半年でサービスの規模を倍にしたいという、目標に対して「いまの調子では微増すぎるので、何か施策を打っていきたい」と語った。
また、開発に支障が出るほどレガシーすぎたシステムを刷新するという、リニューアルの真の目的については、検索やテキスト分類といった新機能もスケジュールどおり実装でき、非常に上手くいったとした。
さらに、開発がチーム体制になったことで開発力が大幅に増したという。顕著に現れたのが、β発表から1カ月弱で「はてなアイデア」に寄せられたユーザー要望のうち、すでに120件以上を実装した。それ以外の修正や機能追加も含めて、1月で200~300のタスクをこなす体力があるという。
フィルタリング導入への方針
伊藤氏は、はてなブックマークを「(ブックマークの)機能」「コミュニティ」「メディア」の三軸で考え、今回のリニューアルではお気に入りや検索・テキスト分類といった機能面を充実できたので、今後は手付かずのコミュニティやメディア、モバイルに注力したいとした。このうちコミュニティとしては、次のような検討がされている。
- 「お気に入り」に入れやすくなるような仕掛け
- 非表示機能によるフィルタリング
- コミュニティが分散するような仕組み
- はてなブックマーク市民制度(画像を選んだり、タイトルを書き換える機能を、使い慣れた人だけに限定し、また市民がコミュニティに何らかのフィードバックをかける仕組み)
とくに、フィルタリングに関しては「議論があると思いますが」と前置きしつつ、ネガティブなコメントばかり書きすぎるとフィルタリングされるような仕組みを検討する。ただし、「書きたいことを書ける」という表現の自由は原則維持するとし、次のような基本方針を挙げた。
- 見たくないものは見なくて済む
- 見たければすべて見られる
- 強制消去や特定表現の入力制限(いわゆる「NGワード」)は実装しない
- 誹謗中傷などは「はてな情報削除ガイドライン」に則って対応する
これに「お気に入り」のソーシャルグラフによるコミュニティの分散を加えて「見たくないものは見なくて済むのだが、それほど激しくないコメントは適度に見える環境にしたい」と語った。フィルタリングやお気に入りによる「蛸壺化」批判に対しては、まったく分散しないで全開放していると、逆に「怖いコミュニティ」に蛸壺化してしまい、新しいユーザーが参加しにくくなるので、適度な分散とフィルタリングは必要という見方を示した。
なお、2009年上半期には以下のポイントについても強化するとしている。
- デザイン機能の強化
- モバイル版のリニューアル
- 非表示ユーザーを共有することによるコメント対策を検討する
- IT以外のジャンルの話題を見つけやすくする「トピックスページ」の追加
- 検索精度の向上
- 「お気に入り」に入れるユーザーのレコメンド
- ユーザー招待機能の検討
- Firefox拡張
- 各種マーケティング施策 など
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