成長するデジタル音楽市場、海賊行為との戦いも本格化
IFPI(国際レコード産業連盟)は1月16日、“Digital Music Report 2009”と題したレポートを発表した。世界のデジタル音楽市場は6年連続で拡大を続けており、2008年には約25%増の37億ドルに成長。売上シェアで見ると、デジタル音楽は録音された音楽の売上の約20%を占めており、前年(2007年)と比較すると15%の成長となっている。
しかし、音楽業界はオンラインで違法配信される膨大なコンテンツに悩まされている。IFPIは、2008年に16か国で400億以上のファイルが違法にファイル共有されたと見積もっており、これは全体の95%に達する。
オンラインでの海賊行為の影響は大きく、各国政府も対策に動き出している。2008年7月に、英国政府の仲介によってレコード業界と映画業界、および主要ISP6社の間で覚書が交わされ、違法なファイル共有を減らすよう要請。同時に英国政府は、インターネットにおける海賊行為に対する法的な手段についての協議をはじめている。
また、ニュージーランドでは2月から違反を繰り返す人のアカウントを終了することをポリシーに含めるよう、ISPに要請を開始する。こうした動きは、米国、イタリア、オーストラリア、日本、香港、韓国でも広がっている。
音楽ビジネスの新しいトレンド
デジタル音楽市場の成長を支える新しいサービスやビジネスモデルが2008年には数多く登場した。ノキアの音楽携帯Comes With Music phoneが登場し、新しい音楽配信サービスとしてソニー・エリクソンのPlayNow plusや、デンマークのISPであるTDCのPLAYがスタートした。TDCは、モバイルやブロードバンドサービスに音楽をバンドルするようになってから、利用者が他社に乗り換える率が大幅に落ちたという。
DRMフリーの音楽販売も増えており、2009年1月にiTunesは800万本のDRMフリーの楽曲を提供すると発表。また、アラカルトで音楽をダウンロード購入できるAmazon MP3もヨーロッパで成長している。
広告モデルによって消費者に無料提供するサービスもスタートしており、2008年9月には、大手SNSのMySpaceが米国でMySpace Musicをローンチ。また、動画共有サービスYouTubeと、いくつかの主要な音楽会社がとライセンス契約を結んでいる。
IFPIは、音楽ビジネスの国際的なトレンドとして、販売数をベースにしたビジネスから、複数のチャネルやプラットフォームを通じた音楽へのアクセスをマネタイズする方法にシフトするとしている。
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