ターゲットをより明確に
昨今、リスティングやアフィリエイトに代表される成果報酬型広告が、サイトへの集客手段として、広く普及しています。そのような環境下で、企業のウェブ担当者は、効果検証の視点を、広告出稿に対するCPC(クリック単価)やCPA(獲得単価)の指標から、より業務に直結した購入商品別の獲得単価や獲得ユーザ一人あたりの獲得単価を重視する傾向にあります。
なぜならば、通常ウェブ担当者は成果以上のコストを集客に投下することができないことが多いためです。ウェブ担当者が費用対効果を改善するには、サイト訪問者の中からターゲット顧客を選定し、的確な商品の訴求を通して成約数を増やすことが求められます。つまり、ネットユーザ特有の行動パターンを正確に理解し、ユーザひとり一人に対する訴求効果を高めることが、ネットマーケティングを成功に導くカギとなるのです。
ネットユーザの行動特性
ネットユーザの行動特性を表すものにAISAS【注1】があります。ネットユーザは、1回のクリックで成約まで到ることはまれであり、ほとんどのユーザがサイトへの再訪問を繰り返しながら意思決定を行います。また、サイトを訪れる際の流入手段(コンタクトポイント)は、バナー広告、リスティング、SEO、直接流入、外部リンクと様々であるため、ネットユーザは、再訪問を繰り返す毎に異なる流入手段(コンタクトポイント)に接触します。
例えば、ある広告をクリックしてサイト流入したユーザが、再訪問時に同じ広告をクリックする確率は極めて少なく、購入時には、直接アクセスか自然キーワードを介して成約する割合が多くなります。当社の統計データでは、サイトのコンバージョン(成約)数に占める流入手段別の割合は、広告流入よりも自然キーワードや直接流入といった自然流入が多く、平均でも50%~60%の過半数以上を占める傾向にあります。
これは広告が、ユーザへの認知や興味を喚起する手段としては有効ですが、ユーザが意思決定する際には、明確な目的意識を持っている結果、自然流入する確率が高くなるためです。そのため、サイトにおける成約率を高めるためには、以下のネットユーザの行動特性と、それが及ぼす広告接触について考慮する必要があります。
1 ネットユーザは、1回のサイト訪問では意思決定を行わない。常に、サイトへの再訪問を繰り返す過程で購入決定を行います。
2 ネットユーザが購入するまでに繰り返すサイトへの再訪問の期間は、購入対象となる商品・サービスにより、1ヶ月未満や3ヶ月など様々です。
3 ネットユーザは、サイトへの再訪問を繰り返す毎に、異なるコンタクトポイント(ランディングページ)を経由してサイト流入します。
4 ネットユーザが接するコンタクトポイントは、広告流入だけでなく、自然流入も含まれます。
【注1】AISAS:従来の広告による購買心理形成プロセス「AIDMA」に対し、マス広告がそのまま購買行動を引き起こすのではなく、ネットでの検索などの情報取得によって比較検討を行い購買に至るインターネット特有の行動プロセス。Attention(認知)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(購買)→Share(情報共有) AISASは(株)電通の登録商標。