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第3回 通信販売広告表示の「はてな?」その1


今回はネットで通信販売や、ネットオークションへの出品などで行うときなどに、どうしても気になる「通信販売広告表示」についての疑問について、お答えしていきます(その2、その3)。

【質問】
 ネットショップを開設するにあたり、ネットショップ経験者から、「通信販売広告」というページを作らなくてはならないとアドバイスされました。具体的に何を書けば良いのでしょうか? またこれを公開していない場合、どうなってしまうのでしょうか?

【回答】

 既にご承知の方もいらっしゃると思いますが、「通信販売」を業として行う場合には、「特定商取引に関する法律」(以下「特商法」)の規制を受けることとなります。それでは、ネットショップにおける商品の売買は、特商法の規制を受けるのでしょうか?

 この点、特商法第2条第2項は、「『通信販売』とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の経済産業省令で定める方法(以下「郵便等」)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う指定商品若しくは指定権利の販売又は指定役務の提供であって電話勧誘販売に該当しないものをいう。」と定義しており、また、「その他の経済産業省令で定める方法」には、電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法(特定商取引に関する法律施行規則第2条第2号)が含まれます。

 したがって、ネットショップにおいて、消費者から電話、ファックス、電子メール等で申込みを受けて商品等の販売や役務の提供を行う場合は、特商法の「通信販売」に該当し、同法の規制を受けることとなります。

 通信販売では、隔地者間の取引となることから、消費者にとっては広告が唯一の情報となります。広告の記載が不十分であったり、不明確であったりすると後日トラブルを生ずることになりかねません。そこで、特商法第11条は、通信販売についての広告に表示すべき事項(以下「通信販売広告表示事項」)を次のように定めています。

  1. 販売価格(役務の対価) (送料についても表示が必要)
  2. 代金(対価)の支払時期、方法
  3. 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
  4. 商品の引渡し(権利の移転)後におけるその引取り(返還)についての特約に関する事項(その特約がない場合にはその旨)
  5. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
  6. 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
  7. 申込みの有効期限があるときは、その期限
  8. 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときは、その内容およびその額
  9. 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
  10. いわゆるソフトウェアに係る取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
  11. 商品の販売数量の制限など、特別な販売条件(役務提供条件)があるときは、その内容
  12. 請求によりカタログなどを別途送付する場合、それが有料であるときは、その金額
  13. 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
  14. 相手方の承諾等なく電子メールによる商業広告を送る場合には、そのメールの件名欄の冒頭に「未承諾広告※」

 なお、通信販売広告表示事項の詳細については、経済産業省のホームページをご参照下さい。

 このように、ネットショップにおいて広告を行う場合、当該広告に通信販売広告表示事項を記載する必要がありますが、この通信販売広告表示事項の記載を怠った場合は、主務大臣から指示を受けることがあります(特商法第14条)。また、通信販売広告表示事項の記載を怠った場合において通信販売に係る取引の公正及び消費者の利益が著しく害されるおそれがあると認められるときや、上記の主務大臣からの指示に従わないときは、主務大臣から営業の全部又は一部の停止命令を受けることがあります(特商法第15条)。

 そして、この主務大臣の指示や業務停止命令に違反した場合は、刑事罰が課されることとなります(指示違反については特商法第72条第2号、業務停止命令違反については特商法第70条第2号)。

本稿中、意見にわたる部分は、筆者個人の見解を示すにとどまり、筆者の所属する法律事務所の意見を表明するものではありません。また、具体的事案により本稿中とは異なる結果が生じる場合があります。

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この記事の著者

笹倉 興基(ササクラ コウキ)

弁護士(東京弁護士会所属)。1995年早稲田大学法学部卒業。1999年弁護士登録。黒田法律事務所において、特許権、商標権及び著作権といった知的財産権に関する案件、ベンチャー企業の支援を担当している。また、M&A・事業再生・リストラクチャリングや民事再生などにも注力しており、ビジネス法務の分野において第一線で活躍中。ネットビジネスに関連する法律に精通している。 www.kuroda-law.gr.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/10/18 12:39 https://markezine.jp/article/detail/290

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