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「お金を振り込んだのに商品が届かない!」インターネットショッピングモールの「はてな?」その1

楽天市場やYahoo!ショッピングに代表されるインターネットショッピングモール。たくさんの店が集まっており、多くのユーザーが利用していますが、中にはトラブルも生じているようです。今回はインターネットショッピングモールにまつわる「はてな?」について取り上げてみました。(その2はこちら)

【質問】
インターネットショッピングモール(以下、ISM)に出店しているあるネットショップで商品を購入し、前払いで銀行にお金を振り込みましたが、いつまでたっても商品が届きません。ショップは夜逃げしてしまい私は詐欺に遭ってしまったようです。ISMの運営者にネットショップに支払った代金の返還を請求しましたが、「お買い物に関する責任は負いません」といわれてしまいました。利用規約にも確かにそう書いてあるのですが、このまま泣き寝入りするしかないのでしょうか?

回答

 一般に、ショッピングモールとは、遊歩道や歩行者専用の買い物広場などのある商店街(大辞林第二版・三省堂)を意味します。少し乱暴ですが、ISMを理解する上では、ISMの運営者を商店街内にある全ての建物の所有者と考え、ISMの出店者を商店街内の建物または建物内の一区画を運営者から借りて自己の営業を営む賃借人と考えると分かりやすいと思います。商店街内の建物を借りる場合には「建物賃貸借契約」を締結しますが、ISMに出店する場合には、「出店契約」と呼ばれる契約を締結するのが一般です。

 今回のご質問では、ISMに出店しているネットショップで商品を購入し前払いで代金を支払ったにもかかわらず商品が送付されず、また、当該ショップの責任者が行方不明となり連絡が取れなくなったことから、ISMの運営者に代金の返還を求めるというものですが、法律上このような請求が認められるのでしょうか?

モール側は、取引の当事者ではないので責任は負わない

 消費者が商店街にある商店で商品を購入した場合、当該商店と消費者との間で売買契約が成立します。この商店が賃借人であった場合に、賃貸人たる建物の所有者が売買契約の当事者となるわけではないことは、皆さんもご理解いただけると思います。ISMにおいても同様であり、消費者がISMに出店しているネットショップで商品を購入した場合、当該ネットショップと消費者と間で売買契約が成立し、ISMの運営者は契約の当事者とはなりません。

 ISMの利用規約において「運営者は、取引の当事者とはならず、取引に関する責任は負いません。したがって、万一取引に関してトラブルが生じた際には、お客様と出店者との間で直接解決していただくことになります。」といった趣旨の規定がありますが、契約上の当事者に関する法律上の結論を確認的に記載したものといえます。したがって、売買契約に基づく責任、例えば、債務不履行に基づく損害賠償請求や売買契約解除に基づく代金返還請求を行うのであれば、売買契約の当事者ではないISMの運営者にかかる請求をすることはできません。

 それでは、ISMの運営者は責任を負うことは一切ないのでしょうか? この点について参考となる裁判例がありますのでご紹介します。

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この記事の著者

笹倉 興基(ササクラ コウキ)

弁護士(東京弁護士会所属)。1995年早稲田大学法学部卒業。1999年弁護士登録。黒田法律事務所において、特許権、商標権及び著作権といった知的財産権に関する案件、ベンチャー企業の支援を担当している。また、M&A・事業再生・リストラクチャリングや民事再生などにも注力しており、ビジネス法務の分野において第一線で活躍中。ネットビジネスに関連する法律に精通している。 www.kuroda-law.gr.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/09/03 12:00 https://markezine.jp/article/detail/1662

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