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「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来

「蛙化現象」「#なぁぜなぁぜ」などトレンドの“裏”にある欲望を分析【電通 2024年の欲望トレンド】

 電通の消費者研究プロジェクト「DENTSU DESIRE DESIGN(DDD)」による本連載、今回は特別回です。近年の様々なトレンドを、その裏にあるであろう「欲望」を起点に分析・解説していただきました。前後編、情報量満載でお送りします。

後編:「2024年欲望トレンド」事例解説

MarkeZine編集部:本記事では、DENTSU DESIRE DESIGN(以下、DDD)が発表した「2024年の欲望トレンド」の事例解説を行っていただきます。2024年の欲望トレンドは以下の6つです。

1.リアリティ(リアルっぽさ)への収斂:“映え”や“盛り”の常態化による疲れが生じ、リアル(日常)でも非リアル(映え・盛りなど非日常)でもない「作為的なリアリティ(リアルっぽいもの)」に欲望が寄っていく。

2.裏ブラックボックスで表シンプル:ChatGPTなど生成AIの普及により、言わば“魔法(のようなもの)”が生活にも溶け込んできた。これにより、「裏は複雑でよくわからないけれど、UI/UXはシンプルなもの」をよしとする価値観が表出し始めている。

3.メタ(俯瞰)というカタルシス:人々の中に、“メタ=俯瞰で物事を見る”という心構えが定着しており、「俯瞰すること」「俯瞰した上で色々な選択肢を設けること」が求められるようになっている。

4.推し活経済圏の拡張:従来の推し活が広がり、本来“推し”の対象ではないものにまで推し活が広がりつつある。

5.本音に応えてくれる:コロナ禍で自分に正直に生きることを覚えた人々が、既成概念から抜け出し、“本音”に応えてくれるようなモノやサービスを求めるようになっている。

6.手段のエンタメ化:タイパのさらに先をいくニーズで、いずれにしてもかかる手間や時間そのものをエンタメに変えてくれるようなモノやサービスへのニーズが高まっている。

 1つ目の「リアリティ(リアルっぽさ)への収斂」と2つ目の「裏ブラックボックスで表シンプル」の事例は『アレもコレも。現代のトレンドの裏にある「消費者の欲望」を事例で解説』の記事で解説しました。この記事では、残り4つの欲望トレンドとその事例を紹介していただきます。それでは佐藤さん、解説をお願いします。

「蛙化現象」の共感者が多いのは「メタ視点」が人々に定着しているから

【欲望トレンド3】メタ(俯瞰)というカタルシス:人々の中に、“メタ=俯瞰で物事を見る”という心構えが定着しており、「俯瞰すること」「俯瞰した上で色々な選択肢を設けること」が求められるようになっている。

佐藤:2023年にヒットした作品を分析してみると、そこにはズバリ「メタ」という共通点があります。『怪物』『正欲』『福田村事件』などの映画作品もそうですし、大ヒットしたテレビドラマ『VIVANT』もそうです。ここで挙げた映画作品は、“この映画で言いたかったこと”などのメッセージ・答えのようなものを一切出していません。「明確な答えが与えられない中、色々な視点・考え方を俯瞰で見ることを楽しむ」というような作り方になっています。

株式会社電通 第2マーケティング局 マーケティングコンサルティング1部 プランニング・ディレクター 佐藤尚史氏
株式会社電通 第2マーケティング局 マーケティングコンサルティング1部 プランニング・ディレクター 佐藤尚史氏

 「メタ(俯瞰)というカタルシス」の欲望トレンドから見えるのは、複数の視点で情報収集をすること、それ自体に価値を見出す感覚が消費者の中に芽生え始めているということです。

トレンド事例7:蛙化現象

佐藤:たとえば、良い例とは言い難いかもしれませんが「蛙化現象」なるものの本質は、ここにあるのではないかと見ています。蛙化現象の代表例としてよく言われるのが、「彼氏がフードコートで彼女を探してキョロキョロしているのを見ると萎えてしまう」というものですが、エモーショナルに彼氏だけを見ていれば、萎えてしまうことはないはずなんです。その状況をメタ的に俯瞰で見てしまう、メタ的に見る心構えが消費者の中に定着してしまっているがゆえに、「なんかちょっとあの人変かも?」と思ってしまうわけですね。

MarkeZine編集部:蛙化現象をそのように考えたことがありませんでしたが(笑)、たしかに“ゾッコン”状態でエモーショナルに恋人を見ていたら、生じない現象かもしれませんね。

トレンド事例8:とにかく明るい安村さんへの評価が気になった日本人

佐藤:もう一つ、わかりやすい身近な例があります。とにかく明るい安村さんが、イギリスの人気TV番組『Britain's Got Talent』でネタを披露されていましたよね。YouTubeで動画をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。

 そのYouTubeで安村さんの動画を見た時のことを思い出していただきたいのですが、みなさん「イギリスで安村さんがどう評価されているのか」をコメント欄で見ませんでしたか? 恐らく、YouTubeであの動画を見た多くの日本人は同じ行動を取っているはずです。

It's the SUPERHERO we all need: Tonikaku | The Final | BGT 2023

 つまり、安村さんのネタが面白いだけではなく、彼がどう評価されているのかを俯瞰で知りたいというニーズがそこにはあったわけです。これも、面白い(エモーショナル)とメタ視点を行き来している典型的な例ですね。

 ちなみに、我々は「エモ」と「メタ」を行ったり来たりすることは、豊かな人生を送るために今後大切になってくるのではないかと考えています。自分の“エモ”だけを追求するより、派生的に自分の視点を広げていくほうが、新しい楽しみが生まれてくるかもしれません。「メタ(俯瞰)というカタルシス」は、人生のヒントにもなりそうです。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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MarkeZine(マーケジン)
2024/01/26 19:15 https://markezine.jp/article/detail/44525

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