ウェブアンテナ導入で“施策のどこが悪かったのか”が深く見えるように
では、ウェブアンテナの導入で体制が整備されたことで、どのような変化が起こったのだろうか。
イー・ローンの主力ビジネスモデルのひとつに、ローンの申込件数に応じて成果報酬を得る広告モデルがある。イー・ローンで比較・検討したユーザを金融機関のサイトに誘導し、申込みに至れば成果が発生する。
ウェブアンテナ導入以前は広告からの流入数と、誘導後に金融機関のサイトでコンバージョンした数だけしか見ていなかった。しかし、導入後は“どれだけ金融機関のサイトへ誘導したか”という数字を、申込みに至るまでのマイルストーン=中間コンバージョン(CV)として取るように変えた。
申込に至る途中の中間的なコンバージョンを定義することで、分析の幅が広がったというのが内堀氏の認識だ。
ウェブアンテナ導入後、イー・ローンから金融機関サイトへの誘導を中間的なコンバージョンとして設定

「例えば、ある月とある月の成果を比べた時に、顧客獲得単価(CPA)は同じなのにコンバージョン率が落ちているということがありました。どこが悪くなったのかと見てみると、金融機関様へのサイトに誘導できた率が悪化していたのです。ちょうどその月、ランディングページ(LP)を変えていたので、それが原因で誘導できなくなったのではないかと考えました。特に、『広告クリエイティブのキーワードとLPの内容がマッチしなくなったんじゃないか』という仮説を導き出しました」
この他にも、LP単位で広告からの流入数・中間CV・申込件数を比較してみたところ、同じメール広告でも媒体によってパフォーマンスに違いがあることが分かるなど、成果につながる分析が可能になった。
イー・ローンにとって申込件数が増えれば売上は大きくなる。だが質の低い申込者が増えると、広告主である金融機関側にとっては成約率が低下して、顧客満足度も下がることになる。売上を追いながらも申込ユーザの質の向上を図るというバランス感も求められている。
そこで、内堀氏はウェブアンテナで質の向上につながる施策も考えたいと意欲的だ。
「例えば1人のユーザが複数回コンバージョンしてくれるのは、通常の比較サイトの立場からすればありがたいのですが、ローンの場合は1社との契約になる場合がほとんどです。自然と成約率の低下につながるので、複数回コンバージョンするユーザがあまりにも多い流入経路は好ましくないのです。ウェブアンテナならどの経路がよいのか簡単に分かるので、今後は細かく分析していくつもりです。ユーザがどういう動きをしているのか、もっと注目してみないといけないと考えています」
今後の課題は潜在層ユーザに裾野を広げる施策の実行
長年、ローンの比較情報を提供しているイー・ローンだが、「集客経路は検索が中心。ローンを探しに来ている人を集めるだけでは飽和状態でこれ以上伸びないのではないか」と内堀氏は感じている。潜在層のユーザを取り込んで、ユーザとコミュニケーションを図りながら裾野を広げることを今後の課題として挙げる。
「住宅や自動車を購入する際に組んだローンの金利を把握していないユーザは、意識してローン見直しをすれば毎月返済額を2万円近く減らすことができたり、毎月の返済額がそのままで、ローン完済までの期間を3~5年短縮できるというケースも少なくありません。このように“普段は意識していないけれど借り換えでメリットを得ることができるユーザ”にもイー・ローン事業部が運営するサイトを知ってもらい、意識を向けてもらえるよう、例えば家計やローンに関する独自調査などをプレスリリースとして定期的に発信していきたいと考えています。われわれは金融機関とユーザの間を取り持つ立場ですから、その立場を活かしてもっと情報発信をしていかないといけません」
プレスリリースの配信といった施策を検証する際にも、今後ウェブアンテナが大いに役立つことを内堀氏は期待している。ウェブアンテナは大幅なバージョンアップにより、リスティング広告、アフィリエイト広告といったネット広告だけではなく、ソーシャルメディアやお気に入りからの流入についても含めて、全ての流入経路で効果が測定できる予定だ。
「裾野を広げる施策を検証していくために、全流入機能は有効だと思います。積極的に活用していきたいと考えています」

使いやすい管理画面を見る(簡易Webデモ)
