帝国データバンクは、自社データベース・信用調査報告書ファイル「CCR」(160万社収録)から大学発ベンチャー企業(※)を抽出、2012年(2012年1月~2012年12月期)の売上高が判明した536社について、設立時期、業種、所在地、業績動向などを分析した。大学発ベンチャー企業に関する調査は今回が初めて。
大学発ベンチャー企業の設立時期は、2003年の64社、2004年の63社をピークに減少している。業種では、「サービス業」が最多の258社(構成比48.1%)。製造業(190社、同35.4%)が続いた。所在地では、「東京都」が最も多く、「大阪府」「京都府」「福岡県」「北海道」など旧帝国大学の所在地が上位を占めている。また、2012年の損益状況は、損益が判明している304社中166社(構成比54.6%)が黒字を計上している。
2002年度から「大学発ベンチャー1000社計画」が実施され、大学発ベンチャーを取り巻く環境は大きく変わっている。大学発ベンチャーについてはアベノミクスも後押ししており、6月7日に閣議決定された「科学技術イノベーション総合戦略」には、大学の機能強化などと共に大学発ベンチャー企業の活性化が盛り込まれた。安倍政権下では、2012年度の補正予算で、産学共同研究や大学発ベンチャーへの出資金などの用途に1800億円を割り当てており、経済の立て直しに対する大学研究への期待は高まっている。
※「大学発ベンチャー企業」の定義は、文部科学省および、経済産業省の採用している定義を使用。具体的には以下の要件のいずれかに合致する企業。
1. 大学の有する、研究成果や特許を基に設立に至った企業
2. 会社設立5年以内に大学の有する、研究成果や特許を取得、あるいは共同研究等を行った企業
3. 大学教職員及び学生が設立した企業のうち事業内容が大学での研究内容等と関連がある企業
4. 大学からの出資及び、TLOなど技術移転機関が設立に関与した企業