公開の実証実験では、東大が開発したネットワーク仮想化に対応した無線LANアクセスポイント、無線LANおよびBLE(※1)を応用したBeaconCast技術(※2)、「BeaconCast」アプリを用いて、利用者の所在地や現時刻などにマッチするイベント情報やクーポンなどをiPhone・Android両スマートフォン向けに配布するO2O(Online to Offline)の実証実験を11月22日から2014年2月下旬まで、渋谷パルコで実施する。
アプリ「BeaconCast」は、Google Play またはApp Storeで公開しており、期間中に来店した人は、スマートフォンに対象アプリをダウンロードすることで、場所や期間に応じて異なるイベント情報やお得なクーポンを得ることができる。
店舗で多種類のクーポンをデジタル配信することにより、来店者が行動を起こすのに適した配信場所・タイミングなどの評価、および情報を受け取った後の行動観察などを通じて大手ファッションビルにおけるO2Oマーケティング戦略の有用性について検証することを目的としている。また技術面では、同一周波数帯を用いる「無線LANによるAndroid向けBeaconCast配信」と「BLEによるiPhone向けBeaconCast配信」の効果的な共存性評価等も行う。
両者は今後、エリア内の位置情報を活用した仕組みなど、さらなるO2Oへの応用、災害時における緊急情報のブロードキャストへの適用、バックホール回線(※3)のトラフィック削減、トラフィックをデータマイニングすることで利用者の嗜好に最適化された広告を提供するアド・ターゲティング機能の開発など、同技術を幅広く商用化するためのビジネスモデルの検討を積極的に進めるとしている。
※1:Bluetooth Low Energyの略。近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様のひとつで、低消費電力通信が可能。各種のセンサーや小型の装置などでの利用が見込まれている。Apple社がiBeaconというサービスにおいて積極的に利用を始めており、場所に紐付いた情報提供が本格化する兆しがある。
※2:無線LANにおいて用いられるビーコン(Beacon)と呼ばれる制御信号にデータを付加し、符号化を用いて複数のビーコンを組み合わせることで通常のデータ通信に利用する、東大にて新規開発されたプロトコル。電波が混雑した状況においても近隣の不特定多数の端末に認証なしで確実に同報を行う情報通信が可能となる。
※3:スマートフォン・PCなどにインターネットアクセスを提供するアクセスポイントからバックボーン回線へ接続する回線。
【関連記事】
・PARCO、スタートトゥデイのO2O「WEAR」を導入
・ガートナー、2014年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10を発表
・NTTドコモ、東大と大規模公開オンライン講座活用反転学習に関する共同研究開始
・日テレ、「JoinTV」を活用した「O2O2O」プロジェクトが始動、3社と協働
・LINE、新たなO2Oマーケティング手法「LINEコラボアカウント」スタート