返却の必要がない「電子書籍の貸出サービス」
楽天は、シェアリング・エコノミーのパイオニア、図書館向け電子書籍配信サービス米OverDriveの発行済み全株式を約4.1億米ドルで取得、完全子会社化すると発表した。「OverDrive」は、図書館や教育機関などを対象に、電子書籍やオーディオブックなどの貸し出しをサポートするB2B2C型の電子書籍配信サービスにおいて世界最大の普及率を誇っている。米国、カナダ、英国などを含む約50か国で、約5000の出版社が提供する250万以上のタイトルを取り扱い、3万を超える施設にサービスを提供している。
ユーザーは、図書館や教育機関の貸出IDを使って、パソコンやモバイル端末からアプリ経由で「OverDrive」にアクセスし、電子書籍などのデジタルコンテンツを借りることができる。コンテンツはパソコンやモバイル端末で楽しむことができ、貸出期間終了後は利用できなくなるため、返却する必要がない。希望するタイトルが貸出中の場合は、貸出予約をするか、同タイトルの電子書籍を購入するかを選ぶこともできる。
所有より共有を志向する「シェアリング・エコノミー」
こうしたサービスは、モノを買って所有することよりも、共有(シェア)をすることを志向しており、OverDriveシェアリング・エコノミーのパイオニアとして注目を集めている。楽天がこうした企業に出資するのは、ライド・シェアのLyftに続いて2例目となる。
OverDriveは図書館や教育機関などからの利用料を主な収入源とするなど収益性の高いサービスを展開しており、2014年度はEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が2500万米ドル。OverDrive社が加わることで、2015年の楽天グループの電子書籍事業は、EBITDAベースで黒字に近づく見込みだ。
楽天は、2012年にRakuten Kobo Inc.(本社:カナダ トロント市)をグループに加えて電子書籍サービスを提供しており、 書籍が紙からデジタルへと移行しつつある中、OverDriveの楽天グループ入りにより、さらなる電子書籍ユーザーの基盤拡大を図る。
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