アイ・エム・ジェイは、「デジタルマーケティングの実行状況に関する実態調査」を実施した。
デジタルマーケティングの方針・戦略の策定状況
デジタルマーケティングの方針・戦略の策定状況について、自社の実施状況に当てはまるものを回答してもらったところ、Web・デジタルマーケティングの「中長期的な戦略(方針・コンセプト)の策定」「年間戦略の策定」「戦略に基づいた施策の策定」の比率が最も高く、いずれも全体の4割を超える実施状況に。しかしながら、「中長期的な戦略の策定」においては、最も重要な位置づけでありながら、5割以上は取り組まれていない状況が浮かび上がった。
なかでも、「戦略に基づいた施策のKPI/KGI設定(31%)」と「関連人材の教育・育成(32%)」が最も取り組み比率が低く、どのように施策のモニタリングおよび定量評価を実施すべきか、どのように人材を教育・育成すべきか、という点で企業が課題を抱えているようだ。
デジタルマーケティングを推進する上での課題
デジタルマーケティングを推進する上での課題では、「日々の決まった業務ばかりで戦略的な取組ができない」が32%で最も高く、ルーチンワークに時間が割かれ、より重要度の高い業務の時間確保が難しい状況になっているようだ。課題として挙がっている上位の2つ目が「業務の優先順位付けが難しい(30%)」となっており、目の前にある業務と中長期的な観点の業務との兼ね合いの難しさに課題を感じていることがわかった。
デジタルマーケティングのカギは「人」「組織・体制」
デジタルマーケティング戦略上の課題と要因をみると、「人材不足」が53%と最も高く、次いで「組織・体制が整っていない(51%)」「メンバーのスキル不足・教育体制の未整備(48%)」と続き、上位3項目が全て人材関連の課題で占められていることがわかった。テクノロジー面が取りざたされるデジタルマーケティング領域にあっても、戦略上の課題と鍵は「人」であることがうかがえる。
現場とマネジメント層のギャップ
デジタルマーケティングを推進する上で認識している課題を役職別(マネジメント層と現場担当者の2種類)で見ると、「日々の決まった業務ばかりで戦略的な取組ができない」がマネジメント層および現場担当者でともに30%を超え、最も高い比率を示した。一方で、「部署間の壁があり、思うように進まない」と「同じ施策の繰り返しになっている」がマネジメント層と現場担当者間の課題認識に最も大きな差異があり、ともに10ポイント以上の差異が見られた。
現場とマネジメント層で異なる課題認識
デジタルマーケティング戦略上の課題と要因を役職別にみると、「人材不足」「組織・体制が整っていない」「メンバーのスキル不足・教育体制の未整備」の上位3項目は役職による順位の変動は見られなかった。その中でも、「組織・体制が整っていない」と「人材不足」ではマネジメント層と現場担当者との認識ギャップが大きく、現場担当者の意識が高いことがわかった。一方で、「データを取得した後の活用が出来ていない」「戦略のためのデータの取得ができていない」についても認識ギャップが大きかったが、こちらはマネジメント層がより高い課題意識を持っていることが明らかになった。
ビッグデータの分析・活用は全体の3分の1にとどまる
Web・デジタルマーケティングにおける施策の実施状況では、「Webサイトリニューアル・コンテンツ更新」が最も実施比率が高く全体の85%が実施していた。次いで、「アクセス解析・効果測定(66%)」「ソーシャルメディア運用(59%)」の順に実施比率が高くなっていた。大きなトレンドでもあるビッグデータ分析・活用は全体の35%と、全体の3分の1程度しか実施できていない現状が明らかになった。
Web・デジタルマーケティング施策の効果、実感できていますか?
Web・デジタルマーケティング施策の効果について、各施策に「取り組んでいる」と回答した人のうち、「効果が出ている」「やや効果が出ている」と回答した人の比率を見ると、最も高い割合を占めている「Webサイトリニューアル・コンテンツ更新」でも58%となっており、4割以上が期待した効果が出ていないということが明らかに。
「オンラインメディアの広告出稿」では、44%が効果が出ていると回答しているが、約6割が効果を実感出来ていないことがわかった。Web・デジタルマーケティング施策全体でみれば、概ね5割が期待した成果がでていないと判断していることが明らかになった。
【調査概要】
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:全国
調査対象:20~69歳の男女(※調査会社が保有する調査パネル)
有効回答:340サンプル
調査日時:2014年11月17~18日
対象者条件:Web担当もしくはデジタルマーケティングに従事している方
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