ガートナー ジャパンが発表した「2015年度国内IT投資動向」によると、2015年度はIT投資の増加ペースがやや鈍化するものの、ビジネスの「変革」「成長」につながる投資は引き続き増加する見通し。その一方で、IT部門が把握していないIT投資が年々拡大していることも明らかとなっている。
「成長」や「変革」といった「攻め」のIT投資への注目が高まる中、IT部門がビジネス・ニーズに対応しきれず、ビジネス部門が独自にIT投資を行うケースが増加しつつあるようだ。過去3年間のIT部門と利用部門のIT予算の管理状況についてたずねた結果、「利用部門が管理するIT予算は存在しない」の比率が減少する一方で、「IT部門が管理・把握していない利用部門独自のIT関連予算が存在」する企業の比率は全体の2割以上へと増加。「利用部門に独自のIT関連予算が存在するか否かも不明」の比率も少ないながら増加傾向が続いている。
本調査の回答者は主にIT部門であることから、実際はいわゆる「シャドーIT(情報システム部門が把握しないまま現場で利用されている情報システム) 」の比率が水面下でさらに拡大している可能性もある。
ガートナーのリサーチ アナリスト、成澤 理香氏は「変化が速く、柔軟性が重要となる経営環境下では、IT投資に関する権限をある程度IT部門から各ビジネス部門に移譲することは有効だが、過剰な権限移譲はIT投資の戦略的方向性を不明確にし、場当たり的な対応が多くなるリスクをはらんでいる。時間の経過とともにシステムが肥大化し、ビジネス部門でコントロールできなくなる例も一部の企業において見られることから、今後はIT部門が中央集権型で管理するシステムと、ビジネス部門が分散型で管理するシステムの切り分けが意識的に進むと考えられる」とコメントしている。
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