世界のCIOは、顧客/市場とのつながりを重視
ガートナー ジャパンは、CIOが抱える次年度の課題について、2011年10~12月に行った調査結果を発表した。2012年のIT予算について、前年度に比較して増加すると回答したCIOは世界では45%、日本では34%。IT予算の前年比増加率の平均値に大きな差はなく、どちらもほぼ横ばいになっている。
世界のCIOが重視するビジネス戦略では、企業コストを削減する一方で、企業成長を加速する、新規顧客を獲得・維持するといった「攻め」の姿勢が見られた。日本でも同じような傾向が見られたが、IT人材の確保・育成、新規市場や地域への業務拡大が上位にランクされている。
最優先テクノロジは日本「モバイル」、世界「アナリティクスとBI」
世界のCIOが優先するテクノロジの1位は「アナリティクスとビジネス・インテリジェンス(BI)」で、「モバイル・テクノロジ」「クラウド・コンピューティング」「コラボレーション・テクノロジ(ワークフロー)」が続き、顧客/市場とのつながりを重視している。日本では、3位に「エンタプライズ・アプリケーション(ERP)」がランクされる一方で、「クラウド・コンピューティング」は9位に低迷している点が特徴的だ。
ビジネス面でITがどの程度貢献できているかについては、世界では「顧客経験価値」「企業の学習と成長」「顧客エンゲージメント」の順であったのに対して、日本では「生産/サービスの創造」が圧倒的であり、「顧客エンゲージメント」「顧客経験価値」の順で、「企業の学習と成長」は最下位という結果になっている。
日本ではCIOにも「モノ志向」が
日本では製品/サービスそのものに対する志向が依然として強く、顧客経験価値や学習と成長への志向が相対的に弱いなど、「モノ志向」がCIOのマインドにも見られた。
こうした状況から、ガートナーは顧客/市場からのフィードバックを先進のテクノロジによって自社の戦略に生かすサイクルが十分に機能しておらず、国際的な顧客/市場の変化への対応スピードでおくれを取る可能性が懸念されると指摘。日本のCIOに向けて、先進テクノロジを駆使して顧客/市場にフォーカスしたビジネス戦略に関与することが必要であると提言している。
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