「TripBarometer(トリップバロメーター)」は、トリップアドバイザーが年に2回発表する、旅行者の消費動向や特徴などを把握することを目的とした調査。今回の調査ではスマートフォンを使って旅行の計画や予約を行う人々を「スマホトラベラー」と定義し、彼らの行動や習慣について分析した。その結果、「スマホトラベラー」が旅行者の4割を占めることなどがわかった。
旅先での検索・予約がアクティブなスマホトラベラー
スマホトラベラーの割合が多い国トップ15を見てみると、タイと中国が共に65%で最多となった。一方、日本におけるスマホトラベラーの割合は38%で、旅行者全体の平均である42%より低いことがわかった。
旅行者全体に、直近の旅行の宿泊施設の予約経路について聞いたところ、「オンライン」が全体の67%、「モバイルアプリ」8%、「オフライン」25%を占めた。2014年に実施した調査と比較すると「モバイルアプリ」が4%から倍増している(昨年は「オンライン」70%、「オフライン」26%)。また、オンラインでの予約媒体は下記の通りの結果となった。
なお、スマホトラベラーに限定した予約経路は、「オンライン」が67%、「モバイルアプリ」が11%、「オフライン」が22%という結果だった。旅行者全体と比較するとアプリ経由の予約が全体より3%多いものの、大きな差異は見られなかった。
旅先でモバイル端末を使う場面について聞いたところ、「レストランを探す」(72%)、「旅行中にやりたいことを探す」(67%)、「他の旅行者の口コミを読む」(64%)、「ホテルを探す」(50%)、「レストランを予約する」(46%)と、旅をより充実させるための情報収集にスマートフォンを駆使している人々の姿がうかがえた。また、スマホトラベラーは旅行者全体と比較しても、旅先での調べものや予約がアクティブであることがわかった。
日本の宿泊施設はモバイル対応が急務
「宿泊施設から提供されていれば便利だと思うモバイル周りのサービス」について聞いたところ、「アダプターや変圧器」、「ノートPC、携帯、タブレット等に対応した充電器」という声が多く上がった。
スマホトラベラーの宿泊施設に対するニーズに、宿泊施設からの回答と照らし合わせて比較すると、ニーズに追いついていない項目が明らかになった。「充電器」のニーズは高いものの、実際に対応している宿泊施設は35%に留まっている。他にも「予約アプリ」や、「SIMカードや携帯電話の一時貸し出し」について、需要と供給にかい離があった。
調査対象国の宿泊施設の73%がオンライン上の予約を、55%がモバイル端末からの予約を受け付けている。しかし、モバイルに適したウェブサイトを提供している施設は46%、旅先でアクティビティなどが予約できるアプリを提供している施設は20%だった。国別のデータから日本の状況を見てみると、モバイルに適したサイトの開設が、他の国と比較して顕著に低い(11%)ことも分かった。
タイや中国、インドネシアなど日本を訪れるアジア諸国にスマホトラベラーが多い現状を考えると、スマートフォンに対応したサイトの準備は日本の宿泊施設にとって急務といえそうだ。
【調査概要】
集計期間:2015年1月16日~2月2日
調査方法:オンライン調査
実施機関:調査会社Ipsos
対象国・地域:世界7エリア、32の国と地域
対象者:旅行者34,016名、宿泊事業者10,261名、合計44,277名
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