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メッセージングアプリは動画マーケティングの新領域に【アンルーリー:2016年動画広告トレンド予測】

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2016/01/29 09:00

 アンルーリーは、「タテ型動画ブームの到来」「強烈な感情に訴える広告戦略」「メッセージングアプリは動画マーケティングの新領域になる」といった、2016年の動画広告のトレンド予測を発表した。

 グローバルで動画プラットフォーム事業を展開するアンルーリー(Unruly)は、1月29日、2016年の動画広告のトレンド予測『Video Advertising Trends To Look Out For In 2016』を発表した。

1、2016年、世界の広告費は5.6%上昇し、マーケターにとっても戦いの年になる

 夏季オリンピック、アメリカ大統領選挙、UEFA欧州サッカー選手権が繰り広げられる2016年は、まさに戦いの年と言える。これらの巨大イベントによって、世界の広告費は5.6%上昇するとされ、競争は競技場だけではなくマーケターの間でも繰り広げられる。

 今夏のリオ五輪は史上最大のデジタル・オリンピックとなる見込みで、様々な手法で消費者の心をつかむ広告キャンペーンが展開されるだろう。欧州サッカー選手権は、ナイキ対アディダス戦の新たな幕開けを始め、ビッグ・ブランド同士の戦いの場となる見込みだ。米国では大統領選が過熱し、候補者キャンペーンの広告費総額は10億ドルに上ると予測されている。

2、広告業界はハリウッドを追う/強烈な感情に訴える広告戦略

 映画の後を、広告が追う。「スーサイド・スクワッド(Suicide Squad)」から「プライドと偏見」や「ゾンビ」まで、2016年に消費者は戦争映画、特殊作戦部隊ストーリー、そして爆発的なヒット作を観る。様々なブランドがこのトレンドに乗り、「強烈な感情」に訴える広告戦略をとることが予想され、この様相は2015年とは大きく異なりる。アンルーリーが提供する「ShareRank」の調査結果によると、2015年には、「ハッピー」「暖かみ」「愉快」といった感情が消費者にもてはやされていたが、2016年には強い風刺やブラックユーモアが受けると見られる。

3、「Quantified Self」に着目したコンテンツづくり

 2015年に世界中で購入されたウェラブル端末は7,200万台、前年比173%の成長を遂げた。「自分の状況・行動を定量化する(Quantified Self)」という考え方が根付きはじめ、消費者は自分の消費パターンをトラッキングし、フィットネス(健康管理)の目標設定をし、生産性を向上させて、自分の行動・状況を常に把握しようとしている。

 自己改善アプリを使うと、目標を簡略化し、達成しやすいステップにすることができる。2016年は、予算トラッキングのアプリを提供する銀行から、アクティビティ追跡に関するコンテンツ開発するFitBitなどのブランドまで、この「自分の状況・行動を定量化する(Quantified Self)」という点に着目したコンテンツ作りが進むだろう。

4、タテ型動画ブームの到来 

 Snapchat、Periscope、Meerkatなどのネイティブ・モバイル・ビデオプラットフォームの出現で、消費者間でタテ型動画が急速に普及している。この理由として、タテ型動画広告はヨコ型動画広告と比べて完全視聴率が9倍も高く、現時点で29%の動画広告がタテ型で視聴されているといった事実がある。

 また、マーケティング予算の8%がモバイルに投下されている一方で、44%の動画がモバイル機器で視聴されている。優れたマーケターならばここで、ユーザーの行動を変えようとするのでなく、タテ型のモバイルフレンドリーな動画を使えば、モバイルユーザーとより確実、親密、かつ効果的に繋がることができるとわかるだろう。

5、ブランドにとって、VRは現実的な選択肢に

 2016年は、新しい擬似体験を生み出すストーリーテリングのプラットフォームとして、VRの活用を模索し始めるブランドが増える。その理由として、VRのハードウェア、ソフトウェアの売上は、2020年までに218億ドルに達するとの予測がある。

 バーチャルリアリティ・ヘッドセットを装着すると、擬似体験動画をストリーミングで視聴しながら、360度の動画環境を楽しめる。ボルボ、ザ・ノース・フェイス、ロウズ、マリオットホテル、パトロンといったブランドは、すでにVRプラットフォームを使って動画を観る機会を顧客に提供しているが、2016年はより多くのブランドがVRを活用しはじめるだろう。擬似体験というテーマの先には、GoogleのSpotlight Movieのような360度全方位型モバイルアプリがある。より没入感が向上し、ユーザーが自分でストーリーを作り上げていく体験が得られるようになる。

6、オーディオは、クリエイティブの重要なテーマになる

 アンルーリーが実施した動画の将来に関する調査によると、80.4%の消費者が動画広告を“無音”にしている。優れたマーケターは、音声が聞こえても聞こえなくても、ストーリーを伝え、視聴者とエンゲージできる戦略を考えている。モバイル動画の利用増加に伴い、短尺動画の制作に積極的なクリエイティブ・エージェンシーも出てきている。そして、ブランドは”音なし”動画コンテンツの実験を始めている。たとえば、高級ファッションブランドのバーバリーは、無音のフォーマットで商品を紹介している。動画メーカーは字幕付き動画で、視聴者を惹きつける実験をしている一方で、音楽ストリーミングやオーディオ消費が成長を続けていることから、音声広告フォーマットは大きな成長の可能性があると考えられている。

7、絵文字の大流行

 消費者は、自己表現のための新たな方法を探しており、2016年は絵文字が大流行する見込みだ。2015年10月、マーク・ザッカーバーグは、Facebookユーザーが愛情、悲しみ、怒りなどの感情表現に使用する絵文字の「リアクションズ」を発表した。CNNはすでに米国大統領選用に一連の絵文字を発表しているため、人々はネットワークで絵文字をシェアすることによって、候補者への支持を表現できる。

 また、ダヴ(Dove)はすでにカーリーヘアの絵文字群を提供しており、また「嬉し涙の顔」はオックスフォード・ディクショナリが選ぶ2015年の最優秀単語となったこともあり、今や様々なブランドが、絵文字が生み出す微妙な感情を表す語彙を活用しようとしている。

 これは、従来よりも感情に訴えるマーケティング手法へと向かうマクロ・トレンドの一例である。共感が得られる広告こそ、2016年に消費者の心をつかむ戦いで勝ち、感情を起点としたターゲティングや広告戦略が、動画の拡散(シェア数)を広げ、また実際のビジネスに成果をもたらすだろう。

8、戦略的提携

 メディア企業やアドテク企業は、ますます競争激化する広告エコシステムでの生き残りを模索し、YouTubeやFacebookの力を借りながら、コンテンツ・パートナーシップ、営業コラボレーション、また可能性としてデータ提携を推進していく。

 広告代理店は、社内の縦割り構造を解体し、より緊密に動ける機能横断的チームを組織する。人事部門の責任者は、デジタルスキル習得のためにより多くの教育予算を取ろうとして、CFOと戦うことになるだろう。これは、先進的なブランドや広告代理店に、より健全な収益をもたらし、また無駄がなくスピード感ある事業運営へとつながっていく。

9、消費者も競争に参加。広告ブロックソフトが広告経済を適正状態に戻す

 米国では3人に1人が、自分が興味を持っている商品の広告ならば悪いと思わないばかりか、好きだと言っている。一方、広告ブロックソフトの利用数が記録的に伸びているのも同じ米国だ。このギャップは、何を意味しているのか。自分に無関係で邪魔な、そしてデータの重いコンテンツが周りにあふれているため、消費者は安らぎを求めて広告ブロックを選んでいる。その結果、パブリッシャーは収益の最大27%を失うという打撃を受けている。

 一部のパブリッシャーは、広告ブロックに対抗するために自社の広告技術を強化し、コンテンツキャッピング、コンテンツブロッキング、公認アドサーバーの代わりにCMS(コンテンツ管理システム)から広告配信する対策をとっている。また、広告ブロックを回避するテクノロジー企業が次々と現れたが、この技術武装競争は明らかに問題の一部であって、決して解決策ではない。消費者は、広告は邪魔なものと十分感じている。2016年、広告を避けたい消費者と改めてつながろうとする広告主は、消費者から注目されるコンテンツを開発し、見る人の怒りを買うのではなく、魅了する方法でこれを配信していくだろう。

10、メッセージングアプリは、動画マーケティングの新領域になる

 2016年には、携帯電話ユーザーの49%がメッセージングアプリを使用するようになり、これは2年前から30.4%増である。主なプレーヤーは、Facebookが所有するMessengerとWhatsApp、そしてSpanchatの3つ。この2つのFacebookアプリは、20か国以上に巨大なユーザーベースを有している。Snapchatは若年世代のユーザーに人気があり、WhatsAppはヒスパニック系のユーザーに好んで利用されている。実際に、米国のラテン系女性は、米国の一般女性と比較して87%も高い比率でWhatsAppを使用している。Snapchatは、毎日の動画視聴再生数は60億に上ると伝えている。マーケターは増大するメッセージングアプリのユーザー基盤を活用する方法を模索し続けるだろう。

11、柔軟なマーケティングプロセスが勝利する

 マーケターの90%は、様々な混乱へのベストな戦略は、積極的なテストと学習と考えている。しかし、柔軟で俊敏なマーケティングプロセスを導入しているマーケターは、わずか55%である。消費者のアテンションを得るための競争はかつてないほど厳しい今日にあって、消費者の心、そして財布の紐を掴む戦いは激化の一途を辿っている。ブランド、広告代理店、アドテク企業、パブリッシャーは、この戦いに備えるためにあらゆることを実行しなければならなくなっている。クリエイティビティ溢れるニュースルームや作戦司令室から、ネット上で流行っているネタへの即時対応まで、この時代の人々の心に響く適応性の高いコンテンツを作るべく、柔軟なマーケティング機能を持つ、そんなブランドが増えるだろう。

12、「フューチャー・ショック」状態の消費者に受け入れられるのは、シンプルな広告

 新しいコンテンツ、新しいメディアプラットフォーム、新しい技術、新しいアプリ、新しいウェアラブル、そして新しいスマートデバイスの情報が毎日のように溢れかえる状況下、消費者は技術革新のスピードに圧倒されている。これはまさに、「フューチャー・ショック」と呼ばれる状態だ。「いつも繋がっている」現状から逃げ出し、素朴な楽しみに戻りたいという人々が増えるに伴い、ブランドはシンプルなストーリーや素朴な友情の物語を作り上げ、職人技にフォーカスした広告で応えていくだろう。

 テロの脅威は、人々の現実逃避の一因となる。2015年11月にブリュッセルで警察当局がソーシャルメディアへの情報投稿を自粛するよう呼びかけた時、ベルギーの人々は恐怖を表す"lolz"を連ねる代わりに、ネットで人気の猫の画像を次々と投稿したのだ。2016年、生活への不確かさや複雑さを抱える人々には、シンプルに応えていくべきだろう。

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