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イベントレポート

スマホシフトは完了した/スマホネイティブ世代を惹きつける動画マーケティング最前線

検索の時代からタイムラインの時代へ/スマホネイティブ世代のリアル

菅野:ではまずはじめに、お二人にサービス立ち上げの経緯について伺いたいと思います。

森川:動画の時代がくるのは間違いないという確信を持っていました。そして動画がスマートフォンでどう変わるのかを考えました。今までのインターネットサービスは、検索の時代だったと思います。それが、タイムラインの時代に移り変わりました。「動画」「タイムライン」、そこに「自撮り文化」を入れた時に、新しいメディアできるだろうと考えたのが最初のスタートでした。ただ、若年層は別ですが、実際には大人の人たちにとっては動画を撮って投稿する敷居はまだまだ高い。今はまだその前段階で、徐々に文化を作っていくというフェーズだと思っています。

菅野:ちなみに、ゆくゆくは20代以降の人たちにとっても、動画を作って投稿することが割と当たり前な世界になると予想しているのでしょうか。

森川:そうですね。実際に弊社も動画編集用のアプリ「C CHANNEL CAMERA」を出しており、どうやって動画を撮って編集するのか、手段を提供することで徐々にそういう文化を作っていくことに取り組んでいます。

C Channel株式会社 代表取締役 森川 亮氏

菅野:では福山さん、MixChannelを立ち上げた経緯について教えてください。

福山:もともとインターネットでは、ニコニコ動画など動画サービスが人気だったと思います。PCからモバイルの時代ににシフトし、モバイルインターネットがメインストリームになるという前提があった時に、コンテンツの投稿者も変わっていくだろうと考えました。これまで活躍していた20~30代のプロっぽい人に変わり、新しく活躍してくる人は10代の若者や女子高生ではないかと考え、そこに向けたプロダクトを作っていきました。海外ではVineなどが人気でしたが、日本ではこういう風にしたほうがいいのではないかと自分なりに考えた結果、MixChannelの立ち上げに繋がりました。

菅野:それぞれ、いろいろな試行錯誤もあったと思います。ではここで、スマホネイティブ世代が実際にどんなふうにサービスを利用しているのか、教えていただけますか?

森川:例えばこのネイルの動画は1,300万再生を突破し、世界中でバズりました。先ほど話したように、PCの時代は“検索の時代”でした。検索の時代は、比較的長い動画を家のPCから見るスタイルだったと思います。それがスマートフォンの時代になってからは、とにかく短いコンテンツが好まれるとか、楽しみ方自体が変わってきているように思います。現代人は受け取る情報量がとても多く、全てを処理しきれないので、「ニュースはタイトルしか見ない」「動画も頭と最後しか見ない」といったスタイルになってきています。

 例えば昔は「3分クッキング」というと3分で料理できるんだと捉えていたのが、今はみんな3分も待てないんですね。この料理動画は早送りにして、40秒で完結するようになっています。とにかくどんどんせっかちになっています。実際、スマホ世代の人が映画館に行くと、出だしだけ映画を見て後はスマートフォンをいじっている。映画そのものを楽しむというよりは、映画を見たという事実、映画というイベント性のほうが大事になってきているのです。

菅野:そうなんですね。

森川:だからそういう意味では、長尺のコンテンツである必要は全然なくて、いかに短い中に意味を込めるのかが重要になってきています。あとは、タイムライン上ではどんどんコンテンツが流れていってしまうので、その一瞬にどれだけ注意を喚起できるかも、重要な点です。当初は「1分動画」を売りにしていたのですが、1分も見る人ってあんまりいなかったんですよね。もちろん中身にもよるのですが、もう少し短く40秒ぐらいにして、かつテンポを早くして、音楽をちょっと明るくすると、飽きずに最後まで見てもらえる。あと、画面切り替えも速いですね。実際に見ていただくとわかるかと思いますが、最近ではテレビCMも画面の切り替えがすごく速く、視聴者に飽きさせないように工夫がされています。

 少し古い話で申し訳ないのですが、昔、CDを試聴できるサービスが店舗で始まった時に、サビを頭に持ってくるのが時代の流れになりましたよね。それと同じように、あえて刺激的なものを早く提供するのもポイントだと思います。

株式会社Donuts MixChannel事業責任者 福山 誠氏

菅野:MixChannelでも、同じような傾向があるのでしょうか?

福山:そうですね。やはり面白いものが一番初めにある動画のほうが、完全視聴率は圧倒的にいいですね。スマートフォンは指先で操作しているので、何も起こらないと思ったらすぐスキップする癖がついているのでは。なのでユーザーが作るコンテンツでも、いきなり出落ち感があるものが人気だったりします。

 MixChannelの動画は、大きく二つに分けられます。一つが、アニメーション系のミュージックビデオのように編集に力を入れたもの。もう一つは撮影に力を入れるものです。『女子校戦争』というSilent Sirenさんの曲に合わせてユーザーが動画を作っているのですが、僕が今まで見てきたMixChannelの動画の中でもかなりクオリティが高い。このアニメーションは、PCのソフトウェアなどは使わず、スマートフォンだけで作っています (動画はこちら)

菅野:YouTubeなどに投稿される動画とは、ちょっと雰囲気が違いますよね。

福山:プロっぽくないですよね。スマートフォンで作ってる感がすごいあって、こういうのが逆にユーザーにすごく刺さるんです。で、もう一つは一番オーソドックスですが、自分たちをカメラで撮影したコンテンツで、女の子2人が曲に合わせてダンスをしたりするものです。MixChannelはカップルがキスしてる動画など衝撃的なコンテンツもあるのですが、それは一つのカテゴリーにすぎません。どちらかというと、面白動画やダンス動画のほうが多いですね。

菅野:C ChannelとMixChannelは同じ動画メディアにくくられると思いますが、お二人のお話しを伺って、C Channelはメディア、MixChannelはコミュニティといったような特色がそれぞれありますよね。

森川:C Channelの場合、長く続けていくことでコンテンツをデータベース化してそこに価値が生まれる仕組みにしたいと思っています。

菅野:逆にMixChannelは、それほどストック型のモデルを意識しているわけではないのですか?

福山:そうですね。過去の動画は重きを置くというよりは、新しいコミュニケーションがどんどん出ててくるコミュニティサービスにしていきたい。

菅野:そのあたりの方向性も違いますね。

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スマホネイティブ世代の心を捉える動画コンテンツの作り方

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/06/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24537

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