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カスタマージャーニー研究プロジェクト(AD)

“お客様の好みを軸に今を捉え、長く美を支える” 資生堂「ワタシプラス」の伴走型マーケティング

モーメントを活かしたクロスチャネルの活用

 Marketing Cloudを導入した決め手の一つであるLINEの活用について、さらに話を聞くと、取り組みを重ねてきたからこそ、LINEの特性にあわせた最適な活用方法に辿り着こうとしていた。

 「昨年まではメールの補完という立ち位置でしかLINEを活用できていませんでした。そこも今年から改めました。LINEはプッシュ配信ができて、リアルタイム性が強いツールです。現状はメールよりもパーソナル性が感じられて、メッセージ性のある内容、急を要する内容に活用しています。

 たとえば、クーポンアラートメッセージをLINEでクーポン発行当日に出しています。LINEはプッシュ性が強いので、ブロックされないように、配信回数やタイミングにも注意を払っています」(吉本氏)

 ワタシプラスの会員数が約270万人に対して、LINE公式アカウントの友だち数が約2,000万人。LINEも含めたOne to Oneメッセージが実現できれば、データドリブンなコミュニケーションの可能性が広がる。

 「LINE経由でワタシプラスに登録を誘導するのはハードルが高いながら、非会員のセグメント化に対応できています。もちろん既存会員に対して、ワタシプラスIDとLINE IDを紐づけていますので、今後もクロスチャネル活用でリアルタイムなユーザーのモーメントに対応していきたい。たとえば、お客様の外部サイトの動向を把握し、すぐにLINEで関連情報を送れるといった仕組み作りができるかもしれません」(吉本氏)

モーメント起点でCVR10倍に

 2016年にモーメントを意識した施策化を始めて得た大きな手応えを、さらに仕組み化、形にしていくことが、2017年以降のワタシプラスをはじめ資生堂の目指していることだ。

 「テストマーケティングの結果では、モーメント基点のCVRは、以前のセグメント配信よりも10倍増という成果が出ています。また、昨年までのスケジュール基点のメール配信よりも多くの売上が見込める予測も出て、課題の一つだった配信ボリューム不足が解消できそうです。

 あとは、より成果を確かなものにするシナリオ開発が必要です。現状はモーメントを捉えたシナリオが15〜20本ほどあるので、今それらをMarketing Cloudと連携させながら、細かな成果を含めて管理し、本格的な運用に向けた整備を行っています」(吉本氏)

 「これまでデジタルマーケティングと聞くと、即時的なイメージがあり、実際に結果としてそこを求められてきました。このあり方を改めて、2016年からダイレクトマーケティング部に各ブランドの担当チームがいて、ブランド側のマーケティングチームと連携を取っています。一人ひとりの顧客基点とブランド基点を掛け合わせたスタディを集めているところです。

 もともとつながっている店頭履歴を含めたデータ統合によって、よりリアルで立体的に顧客体験を把握したい。今後のミッションは、長期的なお客様とのLTVを意識しながら、ブランドごとのカスタマージャーニー作りを実現していきたいですね」(徳丸氏)

 資生堂には、一人ひとりの人生に寄り添う長期的な観点がある。Marketing Cloudを通じた「モーメントを捉えた施策」が、デジタルマーケティング業界に新たな気づきを促す取り組みになりそうだ。どれほどデジタルマーケティングの可能性が広がるのか、モーメントを巡る資生堂の挑戦に、今後も注視したい。

カスタマージャーニー研究プロジェクトチームのコメント

加藤: 資生堂様のワタシプラスの取り組みは、Paid/Owned/Earnedと分けてきたデジタルメディアの活用方法が、カスタマージャーニーという、顧客接点を長く捉える考え方により変化したことを表していると感じます。
自社のデータでは顧客の過去の行動までを含めて把握できない、という課題を外部データで補い、顧客行動の前後文脈を把握する。お客様一人ひとりの「モーメント」に最適化された資生堂様ならではの「美のジャーニー」から、マーケターは新しいアプローチを学ぶことができるでしょう。

押久保::2012年の「ワタシプラス」発表時のことをよく覚えています。日本を代表する企業がデジタル活用推進の兆しを見せた、象徴的な出来事だったと言えるのではないでしょうか。それから試行錯誤を経て、「今、お客様が何を考えているのか」。いわゆるモーメントを捉えるという発想に至った理由は、「一瞬も 一生も 美しく」というコーポーレートメッセージがあってこそだと感じます。

カスタマージャーニー研究プロジェクトとは?
「カスタマージャーニー」、顧客の一連のブランド体験を旅に例えた言葉。デジタルやリアルの接点が交差し、顧客の行動が複雑化する中、「真の顧客視点」に立って、マーケティングを実践する重要性が増してきました。
カスタマージャーニーに基づいたマーケティングの必要性は、その認知が進む一方で、「きちんと“顧客視点に基づいたシナリオ”を作成し、運用できている企業はまだまだ少ない」多くのマーケターに意見を聞くと、そのように認識されています。
今回、押久保率いるMarkeZine編集部とセールスフォース・ドットコム マーケティングディレクターとして、各企業とジャーニーを研究してきた加藤希尊氏を中心に、共同でカスタマージャーニー研究プロジェクトを立ち上げました。本プロジェクトでは、「顧客視点のマーケティング」における成功例を取り上げ、様々なアプローチ方法をご紹介していきます。その他の成功例はこちら

資生堂の「伴走型マーケティング」を支えるテクノロジーとは?

 顧客のモーメントを捉え、長く関係を築こうとしている資生堂。同社を強力にサポートするMarketing Cloudは、具体的にどのように機能しているのでしょうか?

 現在、Marketing Cloudの製品デモ動画を公開中です。記事とあわせてぜひ、ご覧ください!動画はこちらから。

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この記事の著者

加藤 希尊(カトウ ミコト)

チーターデジタル株式会社 副社長 兼 CMO 広告代理店と広告主、BtoCとBtoB両方の経験を持つプロフェッショナルマーケター。WPPグループに12年勤務し、化粧品やITなど、14業種において100以上のマーケティング施策を展開。2012年よりセールスフォース・ドットコムに参画し、日本におけるマ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/01 13:52 https://markezine.jp/article/detail/25595

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