ヤフーは開発プラットフォームを準備中
会場となった立教大学の一室には約180名が集まり、「盛り上がるジオメディアとは何か」をテーマに、各社が発表を行った。トップバッターはヤフーの村田岳彦氏。「ワイワイマップ」「マチモバ」「うごけ! 道案内」など、ヤフーは多くのジオメディアサービスを提供しているが、いまひとつ盛り上がりにかけており、一部ユーザーの趣味ツールにとどまっているという。
村田氏は、そっけない位置情報データベースにどんなデータを組み合わせていくかが重要だとして、「Yahoo!知恵袋」などのCGMとの連携も示唆した。
また、開発側の問題点として、APIを使ったサービスは”一発ネタ”で終わっていることが多いと指摘。現在、ヤフーは、地図API、拠点情報、大規模ストレージを組み合わせたプラットフォームを夏に向けて準備しており、これが公開されれば、さまざまなAPIを組み合わせたジオメディア開発環境が整うとしている。
良質なクチコミが自然に生まれる環境を提供する「食べログ」
続いて、「食べログ」の村上敦浩氏が登場し、代表的なクチコミグルメサイトに成長するまでのさまざまな運営ノウハウについて語った。CGMとはいえ、その呼び水となるものがなければならない。後発のグルメ情報サイトとして出発したサービス開始当初は、良質な情報を収集するため、サイトの雰囲気を決めるような有力なクチコミ提供者を探し、そのリアルなネットワークを通じて良質のクチコミを増やしていったという。
現在ユーザー数は800万人に達しているが、投稿しているのは5万人ほど、さらに良質な記事を書いている人は数千人だという。こうしたクチコミ情報の質を高めるため、情報は200字までに制限し、全記事を目視でチェックするなどの品質管理も欠かせない。また、マイページを充実させたり、記事から自動的に店舗の位置を地図上にマッピングする機能を提供して、投稿者の便宜をはかっているほか、店を評価するロジックにも気を使い、影響力のある投稿者に重み付けをしているという。
また、サイトでは、ページ上部にコンテンツマッチ広告、ページ下部に周辺のおすすめ情報としてエリアマッチ広告を表示しているが、下のほうにあるエリアマッチのCTRはコンテンツマッチの1.5倍だという。これについて村上氏は、周辺情報を探しているユーザーの注目度が高いためではないかと分析。また、現在はPCとモバイルのアクセス比率は3:1となっているが、今後はモバイルにも注力していくと語った。
記事を書くのはブロガー、編集するのは「30min.」
3番手として登場したのは、サンゼロミニッツ代表取締役社長の谷郷元昭氏。今いる場所から30分圏内の情報がわかる、ブログ集約型タウン情報サービスを「30min.」は、食べログのようなクチコミ投稿サイトではなく、既存のブログから良記事を集約して提供している。記事を書くのはブロガー、編集するのはサンゼロミニッツというしくみだ。
谷郷氏は、ブログやTwitterなど、ネットにはたくさんの地域情報が眠っていると語る。30min.のエリアページでは、その地域についてのさまざまなブログ記事を新聞を読むような感覚で閲覧することができる。また、店舗ページでは、ブログの自動分類によってクチコミ投稿のような精度で情報を提供するほか、ショッピングモールやホテルなどの複合施設ページや特集ページなども提供している。
30min.では記事中の店舗名から位置特定をしているが、同じ名前の違う店や本店・支店の区別などが正確にできなければならない。そのため、常にデータベースを更新し、正確なひもづけを実現するよう情報のチェックを行っている。今後は携帯やPCから情報を投稿できる機能を提供する予定だが、店についてのコメントではなく、「ニュースやスクープを投稿するというスタンスでいきたい」と独自の編集方針を語った。
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